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- ニホンウナギは、その個体数の減少が危惧され、絶滅危惧種に区分されています。
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- しかしながら、ニホンウナギの個体群動態に関する研究は進んでおらず、現時点における個体数増減の詳細は明らかにされていません。
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- 漁獲量や漁獲努力量といった基本的なデータの不足、密漁や無報告漁獲に起因する統計データの信頼性の低さ、放流ウナギと天然ウナギの混在などが、個体群動態の解析を困難にしています。
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- ウナギの基礎知識→ニホンウナギは絶滅するのか
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- 現在消費されているニホンウナギの大部分、99%以上は養殖されたウナギです。
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- 飼育しているウナギに卵を産ませ、育てることは技術的に難しく、商業的な応用は実現していません。
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- このため、養殖されたニホンウナギは全て、マリアナの海で生まれた天然の子ども(シラスウナギ)を捕まえ、養殖場で育てたものです。
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- 「養殖ウナギ」と呼ばれてはいますが、元々は野生の個体ですので、消費が行き過ぎれば、ニホンウナギは減少します。
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- 高級鰻屋で食べるウナギも、冷凍パックに詰められたウナギも、かつては野生のニホンウナギだった、という意味では同等です。
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- ウナギの基礎知識→ウナギが蒲焼になるまで
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- ニホンウナギは現在でも年間5万トン程度が消費されています。
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- 養殖に用いるシラスウナギの量を制限する規則が成立しましたが、過剰な上限量が設定されているため、消費量を削減する効果は期待できません。
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- ウナギの基礎知識→過剰な消費
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- 成育場である河川や沿岸域の環境の劣化は、ニホンウナギの減少に強く影響していると疑われています。
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- 最優先して取り組むべき課題は、ダムや堰など遡上の障害への対応です。
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- 人為的な影響をなるべく取り除いた、その川本来の環境が最終的な目標になります。
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- ウナギの基礎知識→河川や沿岸環境の劣化
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- ウナギは、水のきれいな水域でも、比較的有機物の多い水域でも生きることができます。
- このため、よほど極端でなければ、川の「汚れ」によってウナギが死んでしまうとは考えられません。
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- ただし、毒性のある化学物質などによる汚染が生じた場合は、ウナギが死ぬことや、健康を害することがあるでしょう。
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- ウナギに直接的な害がないからといって、川にゴミを捨てても良い、ということではありません。身近な川を大切にしましょう。
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- 本当です。国内で養殖されているウナギのうち、半分以上が密漁や不適切な流通を経ていると考えられています。
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- 密漁や不適切な流通は、ルールに反しているだけでなく、資源管理を困難にします。
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- 行政や研究者とともに、漁獲や養殖、流通や調理に関わる全ての人間が、この問題に対して正面から向き合う必要があります。
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- ウナギの基礎知識→違法な漁獲と流通
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- 温暖化とウナギの減少の関係は、現在のところ明確ではありません。
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- しかし、温暖化によって海流などの海洋環境が変化すれば、海で産卵するウナギには大きな影響があるかも知れません。
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- 近年、マイクロプラスチックによる海洋汚染が問題となっていますが、マイクロプラスチックがウナギに与える影響はわかっていません。
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- しかし例えば、マリンスノーと呼ばれる小さな生き物のかけらを食べるレプトセファルス(葉っぱの形をしたウナギの子供)が、間違えてマイクロプラスチックを食べてしまうことも考えられます。
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- もしかしたら、ウナギの減少の影に、マイクロプラスチックによる影響があるのかも知れません。
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- 放流によってウナギの個体数が増加するのか、その効果は明らかにされていません。
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- その反面、放流は病原体の拡散、成長の悪い個体の選抜など、ウナギ個体群に悪影響を与える恐れがあります。
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- このため、放流以外の対策を優先して実行するべきです。
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- また、環境教育の題材として適切ではありません。
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- ウナギの基礎知識→ウナギの放流
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- ウナギを卵から人工的に育てる完全養殖の技術が確立すれば、天然のウナギを食べないですむようになり、ウナギは救われるのでしょうか。
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- 現在のところ、ニホンウナギを含むウナギの仲間全ての種類で、飼育下で産卵した卵から孵化したシラスウナギ(人工種苗)を養殖する技術は商業化されていません。
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- また、現状では、完全養殖の技術で、天然のシラスウナギの漁獲量を抑制することは困難であると考えられます。
- 完全養殖で育てられたシラスウナギは死亡率が高く、成長が遅いために費用対効果が低く、商業的に利用されることになっても、天然のシラスウナギの需要が減少するとは考えにくいためです。
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- ウナギの基礎知識→完全養殖
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