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- ニホンウナギの産卵場はマリアナ諸島西方の海域のみです。
川や湖、沿岸域で産卵することはありません。
ただし、人間がホルモンを注射するなどして人工的に成熟させることによって、実験室の中で卵を生ませることは可能です。
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- ウナギの基礎知識→完全養殖
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- ウナギの仲間は世界に16種が生息していますが、全ての種が海で産卵し、川や湖、沿岸域で成長期を過ごします。
川に行くのは成長するためで、海に戻るのは産卵するためです。
川で産卵して海で成長するサケの仲間と、ちょうど反対の一生です。
ウナギの中には川や湖の淡水域に入らずに、ずっと海にいる個体もいます。しかし、そのような個体でも外洋にある産卵場で生まれた後には河口近くの沿岸域まで回遊し、成長してからまた産卵場へと戻ります。ずっと産卵場のそばにいるウナギはいない、と考えられています。
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- 海で泳いだときに目が痛くなるのは、海の水の塩分が人間の体の塩分よりも3倍程度高いためです。
反対に、川や湖の真水は、人間の体よりも塩分が低いです。
ウナギの体の塩分は人間と同じ程度なので、ウナギが海にいるときは体液が濃くならないように、川にいるときは体液が薄くならないように調節する必要があります(浸透圧調節)。
ウナギは川にいるときは塩分を体の中に溜め込んで体液の塩分を維持し、海に入ったら塩分を排出して体液の塩分が高くなり過ぎないようにします。
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- ウナギがぬるぬるしているのは、粘液を出して身を守っているからだと考えられています。
しかし、ウナギはいつもぬるぬるしているわけではありません。
ウナギを触ってぬるぬるしていると思ったら、そのウナギは捕まえられて必死に自分を守ろうとして、粘液を出しているということなのかも知れません。
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- ウナギが間違わずに産卵場へたどり着くメカニズムはまだ解明されていません。
地磁気やフェロモンなどを利用している、と考える研究者もいますが、今のところウナギの方向感覚について、はっきりした知識はありません。
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- 人間は生まれたときに男と女が決まっていることが多いですが、魚には生まれた後にオスとメスが決まるものがたくさんあります。
ウナギの場合、オスとメスがどのように決まるのか、現在のところわかっていませんが、やはり生まれた後の環境が大きく影響するだろうと考えられています。
ニホンウナギやヨーロッパウナギでは、養殖するとオスが多くなることから、高密度で早く成長させるとオスになりやすいとされています。
しかし、インドネシアやフィリピンに生息する「ビカーラ種」と呼ばれる種は、養殖場で育てると多くがメスになります。
どのような環境要因によってオスとメスが別れるのか、まだよくわかっていません。
環境だけでなく遺伝子も関わっていると思われますが、ウナギの性を決定する遺伝子は、まだ見つかっていません。
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- ニホンウナギは生まれてから川に入るまでは透き通っていますが、川に入って大きく育ってくると、背中側が黒っぽくなります。
しかし、日に焼けたから、または日光に含まれる紫外線から身を守るためにニホンウナギの背中が黒っぽい、という考え方には疑問が残ります。
例えばウナギの仲間(ウナギ属魚類)は世界に16種存在します。
背側が黒っぽいのは主に日本やヨーロッパなど温帯に生息する種で、熱帯に生息する種にはマダラ模様が多く見られます。
そもそも、ウナギの体色は黒とは限らないのです。
ウナギの体色の生態学的な意味(機能)は現在のところ特定されていませんが、カモフラージュの効果がある、と考える研究者は存在します。
紫外線によるダメージを低減する効果もあるかも知れませんが、その場合、必ずしも色が黒である必要はありません。
ウナギと同じように浅い水域に生息する魚類に多様な体色が見られることからも、そのことは明らかです。
また、ウナギは夜間に行動することが多いので、他の魚類と比べて特に紫外線に対する防御を強くする必要があるとも考えにくいです。
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