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2009.07.01(2018.06.27 更新)

【自然しらべ2009】みえてきたこと~湧き水のようす

調べる対象:湧水

湧き水のようす

最も多かったのは、台地や段丘の崖沿い


▲鳥取砂丘(自然観察指導員鳥取連絡会)

▲新潟の農村(東京都・横山さん)

どんな所から水が湧き出ているかを6つのタイプから選んでいただいたところ、「台地や段丘の崖沿い」が183ヶ所と最も多く、そのうち東京・神奈川・埼玉・千葉が約6割を占めました。参加者数の多さとともに、崖線が多い地形を反映したものと思われます。次に多かったのが「山・峡谷」の137ヶ所。長野・群馬・山形・青森が10ヶ所を超え、地形的に険しい県が揃いました。次いで、「丘陵地の谷間」が59ヶ所。千葉・東京・神奈川からの報告が多かったのは、下末吉期(約13万年前)にできた古い台地が広がる谷戸が多い地域だからでしょう。「扇状地」は、地形の起伏が多い東日本を中心に52ヶ所。「火山山麓」は、富士山麓のある静岡のほか、山形・鳥海山麓や熊本・阿蘇山麓などから32ヶ所。いずれも湧水が出やすい地形のため、本来はもっと多いはずです。「石灰岩地域」は、沖縄・鹿児島・滋賀・山形から6ヶ所。石灰岩地域は日本各地にあるので、もっと多いはずですが、家族連れやお子さんなどには見つけにくかったのかもしれません。
湧き水は、こんこんと湧き出て幅20cm~1mの流れとなり、川・池・湿地などの水辺をつくったり、人工的な水路になっている所が多かったようです。

 

 

これまで知られていないメカニズムで湧いている場所を発見

今回の結果から、「山・峡谷」でみられた湧き水には、谷間から突然湧き出すものから、山すその低地に出るものまで、さまざまなタイプがあることがわかりました。特に、山からのびる尾根が低地に入り込む岬のような地形の先にある湧き水は、これまで知られていなかった不思議なタイプでした。湧き出るメカニズムはまだ不明ですが、こういった場所が意外に多い可能性も考えられます。専門家による今後の研究に期待したいところです。

 

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