2024.05.29(2024.05.29 更新)
絶滅危惧種の草原のチョウ、オオルリシジミの観察会を開催しました!
日本生命保険相互会社、信州生物多様性ネットきずな、安曇野オオルリシジミ保護対策会議
対象:従業員ファミリー子ども一般市民
貢献:SDGs愛知ターゲット自然の守り手拡大
日本自然保護協会(以下、NACS-J)は、活動を会員として支えてくださっている日本生命保険相互会社、長野県でオオルリシジミの保護活動をされている信州生物多様性ネットきずな、安曇野オオルリシジミ保護対策会議と連携し、「安曇野オオルリシジミ観察会」を開催しました。
草原で暮らすチョウは、草原の減少や里やまの環境の変化により、各地で減少しています。NACS-Jでは、絶滅の危機にある草原のチョウで、現在は長野県と九州の一部でのみ生息が確認されているオオルリシジミの保全に取り組んでいます。
この時期だけ姿をあらわす成虫を観察
2024年5月18日(土)、快晴の中、長野県の国営アルプスあづみの公園にて、絶滅危惧種のチョウ、オオルリシジミの観察会を行いました。当日は、遠くは埼玉県、石川県の会員さんから、飛び入りで参加してくださった地元の方まで、スタッフを含め24名でオオルリシジミの観察を楽しみました。
まずは、室内にて、オオルリシジミの研究者である江田慧子先生から、オオルリシジミの特徴や生態、食草のクララなどについて、お話を伺いました。
安曇野のオオルリシジミは5月ごろ羽化して成虫が飛び始め産卵。孵化した幼虫はクララという、有毒の多年草(人が誤って食べるとクラクラするというのが名前の由来)を食べて成長し、蛹で冬を越します。成虫は1週間ほどしか生きられず、1年の中で成虫の姿を見られるのはわずか1カ月ほどで、この時期しか見られません。
写真:室内でオオルリシジミについて学ぶ。
写真:参加者にはオオルリシジミ観察キットや資料、ステッカーなどをプレゼントしました。
オオルリシジミについて詳しくなったら、いよいよ野外へ。江田先生や、地元で自然観察指導員として活動されている小口治男さんに案内していただきました。
池の周りに植えられたクララの周辺を何匹もチョウが飛んでいます。モンキチョウやベニシジミ、ルリシジミも飛び交う中、オオルリシジミもいました!前日の下見では、素早く飛ぶ姿しか見られませんでしたが、当日は、交尾中のオスとメス、産卵中のメスの姿もじっくり観察することができました。
参加者の中には、初めてオオルリシジミを見た!という方もいました。小さなチョウですが、「オオ」が付くだけあって、確かに身近なヤマトシジミよりは一回り大きく、オレンジ色のラインが美しいチョウです。
写真:交尾中のオスとメス。交尾をはじめると長い間じっとしているので観察しやすい。
写真:クララの花穂の上で、卵を産むのに良い場所を、時間をかけて熱心に探すメス。
写真:クララの花穂の先に産卵するので、卵を探すポイントは分かりやすいが、米粒よりもずっと小さい。
写真:自力で卵を探したい!と、クララの穂先を熱心に観察してくれた少年。
観察の終わりには、安曇野オオルリシジミの天然記念物の管理団体「安曇野オオルリシジミ保護対策会議」の代表・那須野雅好さんから、一筋縄ではいかない絶滅危惧種の保全活動についてお話を伺いました。
ご参加くださった皆さま、ありがとうございました。
6月1日(土)には、オオルリシジミの「卵と幼虫の調査会」を開催し、今年、オオルリシジミがどれくらい卵を産んだのか調べます。ご都合の付く方はぜひ、ご参加ください。
オオルリシジミの看板を設置しました
日本生命保険相互会社のご支援により、公園近くの道路沿いに、安曇野がオオルリシジミの生息地であることや捕獲・採集を防ぐためのパトロール活動について紹介する看板を設置することができました!
日本生命保険相互会社は2023年度よりオオルリシジミの保全活動に参画いただき、安曇野営業部で幼虫の餌となるクララの植え付け活動を実施してくださっているほか、車には「オオルリシジミ生息地パトロール」のマグネットステッカーを貼ってくださっています。
また、近隣では、地元の方が植えてくださったクララをたくさん見かけました。ご協力ありがとうございます。
写真:国営アルプスあづみの公園の南側に広がる塚原区の国道脇に、日本生命保険相互会社からのご支援で設置した看板。
開催概要
安曇野オオルリシジミ観察会
※日本自然保護協会の活動は皆様からの会費やご寄付で支えられています。ご支援、ご協力いただける企業や団体の皆さまを募集しています。日本自然保護協会と連携して生物多様性保全活動を推進しませんか。ご連絡お待ちしています。