2022.06.01(2022.06.25 更新)
NACS-J市民カレッジ104「焼きものと自然」を開催しました。
三菱商事株式会社
対象:一般市民学生
貢献:自然を活かした地域づくりSDGs
日本自然保護協会(以下、NACS-J)は、一人でも多くの方に日本の自然の美しさや大切さ、尊さ、守ることの大切さを伝えたいという思いから、NACS-Jに集う各分野のスペシャリストが講師を務めるオープンカレッジ「NACS-J市民カレッジ」(以下、Nカレ)を開催しています。
104回目のNカレは、陶芸家の青葉炎さんを講師に迎え「焼きものと自然」について学びました。
信楽焼や備前焼の「炻器(せっき)」、瀬戸焼や美濃焼の「陶器」、有田焼の「磁器」など、日本各地に焼きものの産地があり、特徴もさまざまです。
まずは、縄文土器から始まった日本の焼きものの歴史について。日本では、土器、炻器、陶器、磁器の順で焼きものが生まれましたが、素材だけでなく、使われる窯の形状や絵柄にも違いがあり、それらの変遷についてお話いただきました。
そして本題の、なぜ日本各地にさまざまな焼きものがあるかというと、素材となる土や、器にかける釉薬の成分が違うから。同じ地域でも取る場所によって土の成分が違うので、使う土次第で違う焼きものになること。釉薬も石や灰など自然素材からできているため、それらの成分によっても違いが出てくることを、青葉さんの作品を事例に解説くださいました。
次に自然と焼きものの関係をさらに深くみていくことに。こちらも青葉さんが使用している素材を事例に、土の成分の違いのほか、釉薬で使う灰は樹木によって異なり、極端にいえば同じ樹種でも生えている場所で違いが生じ、燃料にする薪の樹木の種類によって焼き方にも違いが出るのだそうです。そんなところでも違いが生まれるのか、と関心を持たれた参加者が多かったようです。
焼きものが日本の自然の多様性と密接な関係にあることがよく分かった今回のNカレ。焼きものを買うとき・使うときには、その焼きものの産地の地質など自然環境を調べてみると、より一層味わい深いものとなるのではないでしょうか。
感想の一部をご紹介
- 焼物の土、釉薬の成分、火加減(温度、炎の影響)で作者の意図を超えた作品が作り出されるのではないかと思うと面白いですね。
- 焼きものに使う土・釉薬や焼き方等のノウハウは大変奥が深く、微妙な世界であることが分かりました。
- 焼き物を左右する要因には、土の成分や粒度、窯の形状、燃料の種類、釉薬、燃焼温度や酸化炎か還元炎か、など多様でとても奥が深いと感じました。狙い通りの焼き物を作るには、何度も試行錯誤を繰り返し、その経験に基づいた知識と勘が必要なのだと悟りました。
- 日本における焼き物の歴史、土や釉薬の成分、植生と土や焼成の関係など焼き物を見る時に知っておくと面白い知識をたくさん教えていただき興味深かったです。講師の方の説明や資料表示がとても簡潔でわかりやすく感心しました。
- 焼き物の歴史、分類、科学について体系的に理解することができた本当にいい講座でした。
ご参加くださった皆さま、本当にありがとうございました。
次回のNACS-J市民カレッジもお楽しみに!