2022.02.15(2022.03.15 更新)
NACS-J市民カレッジ102「自然を想う 俳句の世界」を開催しました
三菱商事株式会社
対象:一般市民学生
貢献:自然の守り手拡大日本の絶滅危惧種を守るSDGs愛知ターゲット
日本自然保護協会(以下、NACS-J)は、一人でも多くの方に日本の自然の美しさや大切さ、尊さ、守ることの大切さを伝えたいという思いから、NACS-Jに集う各分野のスペシャリストが講師を務めるオープンカレッジ「NACS-J市民カレッジ」(以下、Nカレ)を開催しています。
102回目のNカレは、「俳句と自然の関係」について学びました。
必ず季節を表す言葉・季語を入るという約束事で分かるように、俳句は自然ととても関係の深い日本発祥の文化です。
講師は「NHK俳句」「KODOMO俳句」「俳句甲子園」などの選者も務める高柳克之さん。松尾芭蕉などの俳句を多用しながら、どのように俳句の中で自然が詠まれてきたのか解説いただきました。
俳句は、自分の気持ちを表現するよりも目の前の自然をありのままに表現するもの、という話は、参加者の皆さんにとっても意外だったようです。
季語は確立したものではなく新たに増えてもいくとのことですが、実は鳥を読んだ俳句が意外に少ない、そもそも鳥の季語が少ないそうです。Nカレ参加者には自然観察を日々楽しんでいる方々が多いので、高柳先生からは、ぜひ鳥の俳句づくりにチャレンジしてほしい、とのリクエストもありました。
では、いい俳句をつくるにはどうしたらよいでしょう? 高柳先生曰く、とにかく外に出て自然をみてどんどん俳句を作ってみること。いくつも俳句をつくっていると、その中でいい俳句が一つ二つと出てくるそう。そして、作り続けていくことで自分なりのスタイルが出来上がっていくそうです。
自然をじっくりみて、見たものをそのまま表現する俳句は、想像していた以上に自然観察と近いものでした。ぜひ、自然観察指導員の皆さんはじめ、自然観察の楽しみの方の一つに俳句を取り入れてみていただきたいと思っています。
余談ですが、偶然にもこのNカレの直後、高柳先生がテレビのバラエティ番組に俳句の先生としてご登場されました。テレビでも高柳先生の俳句解説が聞けてさらに楽しい夜となりました。
感想の一部をご紹介
- 俳句について、学校で習ったこと以外全く知らず、文学系だから、想像力を膨らませて詠むのだろうと思っていました。しかし、実際はそういう句もあるが、現実を現実のままにとらえ、表現するという詠み方をしていて、大変に驚きました。バイアスを介さずありのままの現実を捉えるという考え方は、対人関係や研究など様々な場面においても非常に重要な見方だが、私も含めできない人も多いなか、その捉え方を日々行っている俳人の方々に感服いたしました。
また、たった5・7・5のフレーズを詠んだだけで、鮮明に自然の情景が脳裏に浮かび、自然の美しさや尊さを感じられ、俳句とはこんなにもすごいものだったのかと驚きました。 - 私は自然観察が好きで、様々な生き物に触れてきましたが、その時とは違った感覚の自然を感じることが出来、新たな自然の見方を知ることができました。
- 独学で下手な俳句をつくっています。高柳講師の本も読んだことがあります。芭蕉が固定観念、先入観、季語の本意にとらわれず自然を自分でみて俳句の革新をした話は改めて参考になりました。自然観察と関わり自然観察指導員ならではの目で俳句がつくっていけたらいいなあと思いました。
- 俳句には全く興味を持ってはいませんでしたが、自然をそのまま素に捉え、五七五の言葉に残すことで、その感動も残せることを知りました。本意については知識もなく、その系統の俳句の作成は無理ですが、まず素に捉えた自然をそのまま書いてみることからとっかかってみようかと思います。
- 俳句については全く知識がないのでお話が新鮮で面白かったです。自然を見たままに先入観なく切り取る写生の方向性は自然観察とかなり近い関係性があっておもしろいです。一方桜やホタルなどに特定の文化的要素を共有する独特の文芸世界もまた背景が興味深いものがあります。
ご参加くださった皆さま、本当にありがとうございました。
次回のNACS-J市民カレッジもお楽しみに!