2022.01.26(2022.01.26 更新)
創立70周年記念企画。今、世界が注目するキーワード「NbS」をテーマにNACS-J市民カレッジを開催しました
三菱商事株式会社
対象:一般市民学生
貢献:自然の守り手拡大日本の絶滅危惧種を守るSDGs愛知ターゲット
日本自然保護協会(以下、NACS-J)は、一人でも多くの方に日本の自然の美しさや大切さ、尊さ、守ることの大切さを伝えたいという思いから、NACS-Jに集う各分野のスペシャリストが講師を務めるオープンカレッジ「NACS-J市民カレッジ」(以下、Nカレ)を開催しています。
NACS-Jは2021年10月で創立70周年を迎えました。時を同じくしてNカレも開催100シリーズを迎えた記念すべき今回は、世界でも注目されている自然保護の新しい概念「NbS(Nature-based Solutions/自然に根ざした解決策)」をテーマに開催しました。
まず、NACS-J国際担当の道家哲平から世界の最新動向も踏まえてNbSについて解説したのち、特別プログラムとしてNbSを実践している「赤谷プロジェクト」(群馬県みなかみ町)を事例にディスカッションを実施。
道家からは、NbSとはその言葉どおり、自然を守り自然を基盤に社会課題を解決していくという考え方で、世界が注目していること。そして、日本におけるNbSの好事例として、群馬県みなかみ町でNACS-Jをはじめとした主体が取組んでいる「赤谷プロジェクト」を紹介。管理の行き届いていない人工林を自然林に復元する活動がもたらすCO2削減効果や、復元過程で出た木材をしっかりと地域経済にも活かしていく事例を取り上げました。
赤谷プロジェクトは、群馬県みなかみ町に広がる約1万haの「赤谷の森」を舞台に、NACS-J、地域住民、行政が協働で実施。たくさんの研究者や企業、個人の皆さまにも協力いただいている活動です。
特別プログラムのディスカッションには、地域住民の立場からはみなかみ町の木材を使ってものづくりを行う山口長士郎氏、行政の立場からは林野庁国有林野部長の橘政行氏、研究者の立場からは森林管理の専門家でNACS-J執行理事の土屋俊幸氏、そしてNACS-Jで赤谷プロジェクトを担当している出島誠一が登壇。それぞれの立場から、赤谷の森の持つ潜在的価値や今後の展開について活発な議論が交わされました。
当日は森林管理や地域づくりに興味のある方も多く参加いただき、森林管理の手法についての質問や、赤谷プロジェクトを他地域に広げていくことへの期待なども寄せられました。
感想の一部をご紹介
- 自然保護から生物多様性の維持という課題とこれらに基づく持続的な地域づくりといった社会的な課題の解決の糸口や事例を赤谷プロジェクトの中に見出すことができた。
- 赤谷の森が長年、多くのステークホルダーの協働により利用されてきたことがよく分かった。地元の国有林は何をしているのか全く分からないので、赤谷プロジェクトで培われた様々なノウハウを是非とも公開し、国民にフィードバックしていただければ国有林の利活用につながるのではないかと思った。
- 赤谷の森での取り組みを全国に広げることについての林野庁より前向きなコメントが聞けたことが良かった。
- 山口さんの、「Natureに根付くと自分ゴトになる。」という言葉が印象的だった。地域に根差した解決策は結果以上にそのプロセスを通して人と自然の距離が縮まる、分断を解消していくという価値がある。また、国有林として赤谷プロジェクトのような取り組みを全ての局で実施しようという意識があることが示され、希望を感じた。
ご参加いただいた皆さま、どうもありがとうございました。
公益財団法人日本自然保護協会 自然のちから推進部
担当:志村、三好、櫻井、原田、岩橋
03-3553-4101 shizen@nacsj.or.jp