2021.09.06(2022.02.01 更新)
香川、岡山、愛媛3県で砂浜ムーブメント。7ヵ所の砂浜でビーチクリーンや生きものしらべに取り組みました
株式会社バイオーム、株式会社ピリカ、こくみん共済coop、株式会社サニクリーン、OXOなど
対象:ファミリー子ども学生一般市民
貢献:SDGs愛知ターゲット自然の守り手拡大
日本自然保護協会(以下、NACS-J)は、多くの企業や団体の皆さまと連携して、自然海岸の減少や海ごみの問題など、海や砂浜が直面している課題の解決を目指して「全国砂浜ムーブメント2021」(以下、砂浜ムーブメント)を主催しています。
この度、NACS-Jのスタッフが、香川県、岡山県、愛媛県の3県7か所の砂浜を訪れ、ビーチクリーンや生きものしらべなど砂浜ムーブメントのアクションに取り組みました。
※新型コロナウィルスの感染対策には細心の注意を払い活動していますが、写真撮影時のみマスクを外している場合がございます。
砂浜ムーブメントでは、海や砂浜が直面している課題の解決を目指して、3つのアクションを呼びかけ、全国の皆さまに参加、活動いただいています。新型コロナの影響でたくさんの人が集まっての活動ができないのは残念ですが、NACS-Jのスタッフも全国の砂浜を訪れ、3つのアクションに力を注いでいます。
砂浜を守る3つのアクション
- 砂浜ノートを子どもたちに届けよう!(目標は5万人)
- 砂浜のいきものをしらべよう!(目標は5000データ)
- 砂浜や街中でごみを拾おう!(目標は200万個)
香川県で訪れた砂浜は、坂出市にある沙弥島海岸です。沙弥島は、かつては坂出市沖に浮かぶ小さな島でしたが、昭和40年代に付近の海域が埋立てられ、陸続きになったそう。そんな経緯のある、離岸堤に囲まれた小さな砂浜ですが、微小貝やカニ、海浜植物と、たくさんの生きものを見つけることができました。
▲沙弥島海岸。コウボウムギやオカヒジキなどの海浜植物も見られました
▲微小貝やビーチグラス
▲スナガニ類の巣穴。付近には「砂だんご」が転がっていました
沙耶島海岸ではスナガニ類の巣穴がたくさん見られました。スナガニの仲間は、砂浜に生息し、砂浜に巣穴を掘ります。雑食性で、砂の表面に付着している有機物などをこし取って食べるといわれています。残った砂の部分は「砂だんご」にして捨てられるため、写真のような食後の光景に出会うことがあります。
スナガニ類は、隠れる場所のない砂浜で身を護るために、体は砂色のカモフラージュし、巣穴から出て活動するのは主に夜です。タイミングが良ければ砂の上をささささっ!と素早く動く姿を見ることができますが、この日は残念ながらスナガニ類の姿を見ることは出来ませんでした。
砂浜の代表的ないきものの一つであるスナガニですが、絶滅の危機にある地域も出てきています。砂浜が痩せて狭くなっていることなどが原因です。宮城県では「絶滅危惧Ⅱ類」(絶滅の危機が増大している種)ですし、もうひとつ手前のランク「準絶滅危惧」の府県は7つもあります。準絶滅危惧種は、“現時点での絶滅危険度は小さいが,生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種”です。これ以上危機が進まないように食い止めて、子どもたちが当たり前にスナガニで遊んでいる砂浜を未来に残したいと思いました。
続いて、岡山県では2か所の砂浜を訪れました。特に生きものが観察できたのは、倉敷市にある沙美海岸です。
▲沙美海岸
沙美海岸は、明治時代に日本で初めて海水浴のために小屋などの施設が開設された砂浜だそうです。昭和58年には日本で初めて養浜工事が行われ南国風に整備されています。瀬戸内らしい波が穏やかな静かな砂浜で、たくさんの微小貝が漂着していました。満潮時にできた波打ちラインには、マテガイなどの大きめの貝殻も漂着していました。
▲微小貝がたくさん。細長いのがマテガイ
観察することができた生きものは、いきものコレクションアプリ「BIOME(バイオーム)」を使って調べてみました。10種投稿すれば“砂浜いきものクエスト”の達成です!今年度の砂浜ムーブメントでは、5000の生きものデータを集めることを目標にしています。
※「BIOME」のダウンロードと参加方法は砂浜ムーブメント特設サイト“砂浜を守る3つのアクション”をご覧ください。
愛媛県に移動する途中、愛媛県今治市大三島にあるパン屋「まるまど」さんに立ち寄りました。
店主の小松さんは、学生時代に、損保ジャパン環境財団CSOラーニング制度のインターン生として、NACS-Jが実施している「自然しらべ」で活躍いただいたことがあり、今回は久しぶりの再会となりました。そんな、大三島産の食材をいかしたおいしいパン屋を営む小松さんに、大三島の砂浜情報をお聞きし、砂浜ノートを寄贈させていただきました。
▲台(うてな)海岸
愛媛県では4か所の砂浜を訪れました。
その中で、海ごみ問題の深刻さ難しさを感じたのが、今治市にある台(うてな)海岸です。とてもきれいな砂浜で、海水も海底がよく見えるほどです。ですが波打ち際をよく見ると、マイクロプラスチック化した発泡スチロールが大量に漂着していました。発泡スチロールの出どころは、おそらく沖に見える“浮き”だと思われます。
▲波打ち際。白い粒がすべて発泡スチロール
▲砂丘手前にも発泡スチロールが大量に溜まっていました
▲ハマゴウやハマヒルガオなどの海浜植物もみらました
貝殻や魚、砂丘や護岸付近には海浜植物も見られるなど、多くの生きものを観察することができましたが、波打ち際に連なる小さな発砲スチロールに圧倒されました。発泡スチロールは、もろく簡単にマイクロプラスチック化が進んでしまい、回収が困難なプラスチックごみの1つです。細かくなって回収困難になる前に回収することの重要さを改めて感じました。
回収した10Lのごみは、ごみ拾いSNS「ピリカ」に写真を投稿。砂浜ムーブメントでは、今年度、200万個のごみ拾いを目標に全国に呼びかけています。
※「Pirika」のダウンロードと参加方法は砂浜ムーブメント特設サイト“砂浜を守る3つのアクション”をご覧ください。
今回訪れたのは瀬戸内海。穏やかな海に大小1000あまりの島々が浮かぶ景観は世界的にも魅力的で、瀬戸内海国立公園は日本で最初に指定された国立公園のひとつです。しかし、遠浅であることで埋め立てがしやすく海岸線には人工海岸が目立ちます。かつては大量の海砂採取が大きな問題となり多くの方の働きかけによって平成18年に禁止されたという経緯もあります。
今回訪れた岡山県、香川県、愛媛県の砂浜では、多くの生きものを観察することが出来ました。一方で、一見きれいな砂浜も、多くの海ごみが打ち寄せているなど、実際に目でみて活動することがとても大切だと改めて感じました。
豊かで美しい砂浜を守るため、NACS-Jではこれからも活動に力をいれていきます!引き続き、ご注目ください。
砂浜ムーブメントの特設サイト&チラシ
全国砂浜ムーブメント特設サイトはこちら!
チラシのダウンロード(PDF/854KB)
企業・団体様へ
砂浜ムーブメントは、多くの企業や団体の皆さまと連携して実施しておりますが、現在も、ご支援、ご協力いただける企業や団体の皆さまを募集しています。海や砂浜の自然環境の問題の解決を目指してNACS-Jと連携しませんか!?ご連絡お待ちしております。
企業連携専用のお問合せフォーム
※砂浜ムーブメントで連携している企業や団体様は、特設サイトにロゴを掲載させていただいております。>>こちらをご覧ください。
公益財団法人日本自然保護協会 自然のちから推進部
担当:志村、三好、櫻井、岩橋
03-3553-4101 shizen@nacsj.or.jp