2024.07.25(2024.07.26 更新)
国内全ての国立公園での高級リゾートホテル誘致報道に関し自然保護上の懸念を指摘!
南アルプス国立公園の間ノ岳から農鳥岳をのぞむ
- 日本自然保護協会は、全35国立公園への高級リゾートホテル誘致報道を受けて、自然保護上の問題を指摘する意見書を国に提出
- 全ての国立公園に一律に新たな大規模宿泊施設を誘致することは、自然環境と景観の破壊を招き、国立公園の価値を劣化させうる
- 自然と親しむ機会を創出する上で国立公園での滞在体験の魅力向上は必要だが、自然環境保全と地元の合意、地元関係者の参画が大前提である
- 世界水準のナショナルパーク化の実現のためには、国立公園内の自然環境の把握や保全、荒廃した設備の整備などをまずは進めるべきである
公益財団法人日本自然保護協会(理事長:土屋 俊幸)は、2024年7月19日の岸田文雄内閣総理大臣の、国内35カ所全ての国立公園における民間活用による魅力向上事業推進に関する発言報道を受けて、自然環境保全上の懸念点をまとめた意見書を国に提出しました。
提出した意見書はこちら
国内 35 カ所全ての国立公園における民間活用による魅力向上事業推進に関する意見書
そもそも国立公園とは
自然公園法では、「優れた自然の風景地を保護するとともに、その利用の増進を図ることにより、国民の保健、休養及び教化に資するとともに、生物の多様性の確保に寄与すること」を目的として、「我が国の風景を代表するに足りる傑出した自然の風景地(海域の景観地を含む。)」で環境大臣が指定したものを国立公園としています。
近年、世界的にも生物多様性の喪失が問題となる中で、2030年までに陸域・水域それぞれ30%を保護地域とすることが世界目標となっています(30by30)。そのため、国立公園は自然環境と生物多様性を保全する重要な保護地域としての価値がますます増しています。
意見書のポイント
- 全国35ヵ所の国立公園は、それぞれに置かれている状況が多様であり、特に尾瀬、南アルプス、小笠原などの国立公園は、公園区域内に山小屋以外の大規模な宿泊施設や市街地が含まれていない。これらの国立公園内に新たに大規模な宿泊施設を誘致することは、自然環境および景観の破壊をもたらし、各々の国立公園の価値を喪失させうる
- 国立公園の自然と親しむ機会を創出する上で、滞在体験を通じた魅力向上は必要だが、自然環境保全と地元の合意、地元関係者の参画が大前提である
- 世界水準のナショナルパーク化の実現のためには、まずは国立公園内の自然環境の把握や保全、荒廃した設備の整備などが優先である
本リリースに関するお問合せ
日本自然保護協会 担当:若松・大野
Tel: 03-3553-4101(受付時間:平日10~15時)
Email: wakamatsu@nacsj.or.jp
〒104-0033 東京都中央区新川1-16-10 ミトヨビル2F