2024.02.01(2024.02.21 更新)
2023年「日本のカメ一斉調査」の調査結果まとまる アカミミガメ等カメ類の生息状況が分かる
- 日本自然保護協会は、「自然しらべ2023 日本のカメ一斉調査 ~身近な生きものから見えてくる生物多様性~」を2023年7~9月で実施。
- スマートフォンアプリ「Biome(バイオーム)」を使い市民約1,800名が参加。
- 全国からの2,147件の報告を集計した結果、アカミミガメが55.3%と高い比率を占めた。一方、スッポンが過去20年前、10年前の2~3%から今回13.7%と著しい増加がみられた。その原因は断定できず、今後の調査研究が必要。
- 結果を受け、外来生物法の規制の遵守、地域の防除や保全活動の実施が期待される。
公益財団法人日本自然保護協会(理事長:亀山 章、以下「NACS-J」)は、2023年6月から外来生物法の「条件付特定外来生物」として規制対象となったアカミミガメ、および在来のカメの生息状況を調査するために「自然しらべ2023 日本のカメ一斉調査」を2023年7月1日~9月30日の期間で実施し、集計結果をまとめました。詳しくは下記リンク先をご参照ください。
表 2023年自然しらべで確認されたカメの集計結果
ミシシッピアカミミガメ | 1,187匹 | 55.3 % |
クサガメ | 382 匹 | 17.8 % |
スッポン※1 | 295 匹 | 13.7 % |
ニホンイシガメ | 189 匹 | 8.8 % |
琉球列島のカメ※2 | 43 匹 | 2.0 % |
種不明 | 35 匹 | 1.6 % |
その他外来種のカメ※3 | 13 匹 | 0.6 % |
交雑(イシガメ・クサガメ) | 3 匹 | 0.1 % |
合計 | 2,147匹 | 100 % |
※1 日本にはニホンスッポンとチュウゴクスッポンが生息しているが、外部形態で識別するのは難しいので、今回の分析においては両種を合わせて「スッポン」として扱う。
※2 リュウキュウヤマガメ、ヤエヤマセマルハコガメ、ヤエヤマイシガメ
※3 ミナミイシガメ、カミツキガメ、ハナガメ、ミシシッピニオイガメ
図 2003年、2013年、2023年の自然しらべで報告されたカメの割合の比較
この「日本のカメ一斉調査」は10年毎に開催しており、2003年、2013年は両年ともミシシッピアカミミガメ、クサガメ、ニホンイシガメ、スッポンの順位でしたが、2023年にはスッポンとニホンイシガメの順位が入れ替わっていました。
2003年、2013年、そして今回2023年の調査の種の割合の変化をみると、ニホンイシガメは9.9%、9.1%、8.8%、クサガメは21.1%、20.3%、17.8%と微減を続けていました。また、ミシシッピアカミミガメは2003年、2013年の60%強から2023年の約55%に減少していました。一方で、スッポンは2003年、2013年の2〜3%から2023年の13.7%と4倍以上に増加していました。
この著しい増加の原因は分からず、外来種チュウゴクスッポンの実態や生態系への影響も含めて、今後の調査研究が必要です。
写真 ミシシッピアカミミガメ
図 2023年のミシシッピアカミミガメの確認地点
「自然しらべ」とは
「自然しらべ」とは、子どもから大人まで、身近な自然に出かけて全国同じテーマでしらべる、市民参加型プログラムです。「みんなで、みれば、みえてくる」を合い言葉に、日本自然保護協会が1995年から毎年続け、身近な自然の状況を知る「自然の定期健康診断」でもあります。集まった情報の結果を、学術協力者の方とまとめ、日本の自然を守る活動に活用します。「自然しらべ」ができるだけ多くの方に自然を観察してもらうきっかけとなり、自然への愛着と関心を高め、日本の生物多様性を守ることにつながってほしいと考えています。
ご参考
公益財団法人 日本自然保護協会について
自然保護と生物多様性保全を目的に、1951年に創立された日本で最も歴史のある自然保護団体のひとつ。ダム計画が進められていた尾瀬の自然保護を皮切りに、屋久島や小笠原、白神山地などでも活動を続けて世界自然遺産登録への礎を築き、今でも日本全国で壊れそうな自然を守るための様々な活動を続けています。「自然のちからで、明日をひらく。」という活動メッセージを掲げ、人と自然がともに生き、赤ちゃんから高齢者までが美しく豊かな自然に囲まれ、笑顔で生活できる社会を目指して活動しているNGOです。山から海まで、日本全国で自然を調べ、守り、活かす活動を続けています。
http://www.nacsj.or.jp/
本リリースに関するお問合せ
日本自然保護協会 担当:大野正人
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※図、表のデータ、カメの画像、監修者への取材が必要な場合は、ご連絡ください。