2019.07.01(2019.07.04 更新)
G20大阪サミットでの合意内容では不十分 ―― 海洋プラスチックについて共同声明を出しました
大阪市で主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)で首脳宣言が採択されました。日本の沿岸はじめ世界中の海で深刻な脅威となっている海ごみについても言及されましたが、有効な解決策への合意には至りませんでした。リサイクルではなく、使用量そのものを減らすこれに対し「減プラスチック社会を実現するNGOネットワーク」は、共同声明を発表しました。
2019年6月30日
【NGO共同声明】
G20大阪サミットでの合意内容では不十分。海洋プラスチック汚染問題解決に向け、削減目標付き国際協定早期設立を要請
「減プラスチック社会を実現するNGOネットワーク」のメンバー及び賛同24団体は、本日6月29日にG20大阪サミットで採択された「大阪首脳宣言」につき、海洋プラスチックごみによる新たな汚染を2050年までにゼロにすることを目指すとした「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」が盛り込まれたことを歓迎します。しかし法的拘束力のある国際協定の発足に合意できなかったことなどから、海洋プラスチック汚染問題への対策がなお不十分であると考えます。
そこで、プラスチック汚染問題の解決をめざし、日本政府に対し、以下のことを求める共同声明をまとめました。
- 海洋プラスチック汚染問題を包括的に解決するための、2030年までのプラスチック使用量の大幅削減目標を含む、法的拘束力のある国際協定の早期発足に主体的に貢献していくこと
- 2030年までの意欲的なプラスチック使用量削減目標を、日本政府が率先して早急に設定し世界に示すことで、同様の動きを働きかけていくこと
- NGO、市民団体との実質的な対話や連携を開始すること
「大阪首脳宣言」では、海洋プラスチックごみによる新たな汚染を2050年までにゼロにすることを目指すとする「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」が合意されました。私たちは、これを主要国が共同して海洋プラスチック問題解決を目指す最初のステップとなるとして歓迎します。
しかし私たちは、「大阪首脳宣言」では、このビジョンの「2050年までに」という達成期限が遅すぎること、そして、「法的拘束力のある各国のプラスチック使用削減目標設定を含んだ実効性のある枠組みの構築」に合意できていないことから、海洋プラスチック汚染問題の解決にはなお不十分であると考えます。
私たちは、日本政府が対話を通じてNGOや市民団体の声を十分に取り入れた上、「より早い時期にプラスチックごみの海洋流出をゼロにすることを合意し、そのために法的拘束力のある各国のプラスチック使用量大幅削減の目標設定を含んだ実効性のある枠組みを構築すること」に一層、努力するよう求めていきます。
減プラスチック社会を実現するNGOネットワーク
メンバー団体
- 国際環境NGO グリーンピース・ジャパン
- 一般社団法人 JEAN
- 特定非営利活動法人 パートナーシップオフィス
- 容器包装の3Rを進める全国ネットワーク
- 全国川ごみネットワーク
- 公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)
- 特定非営活動法人 プラスチックフリージャパン
- ダイオキシン環境ホルモン対策国民会議
- 公益財団法人 日本野鳥の会
- 特定非営利活動法人 OWS
- 公益財団法人 日本自然保護協会
賛同団体
- さがみはら環境問題研究会
- 特定非営利活動法人 プロジェクト保津川
- 特定非営利活動法人 アーキペラゴ
- 認定特定非営利活動法人 富士山クラブ
- ふるさと清掃運動会
- 山梨マイクロプラスチック削減プロジェクト
- 寝屋川・恩智川流域環境フォーラム
- 明るい社会づくり運動 大東フレンドフォーラム
- 海をつくる会
- 22世紀奈佐の浜プロジェクト委員会
- 特定非営利活動法人 菜の花プロジェクトネットワーク
- 小山の環境を考える市民の会
- 環境問題を考える会
以上
日本自然保護協会(NACS-J)コメント
首脳宣言が、軽井沢での環境閣僚会合から一歩進んだことは前進といえる。
ただし、絶滅が危惧されるウミガメがプラスチックを餌と間違えて食べてしまう事例や、ウミガメが産卵に来る砂浜に次々とプラスチックが漂着するなど、海にあるプラスチックごみはすでに膨大な量にある。
さらに30年間、新たな汚染を出し続けるのは、海の生き物にとってあまりにも長い時間だ。
日本は一人当たりの使い捨てプラスチックの使用量が米国に次ぐ世界第2位という不名誉な現状にあり、G20の中でも日本はプラスチックごみ排出対策で後れをとっている。
日本にとって海は貴重な財産。日本政府には一層の努力を求める。