2019.01.16(2019.02.13 更新)
絶滅危惧種の渡り鳥「サシバ」を守るため 日本自然保護協会と化粧品ブランドLUSHが連携して バレンタインギフトボックスをリリース!
▲飛翔するサシバ(撮影:仲地 邦博)
- 日本自然保護協会は、サシバを守る活動を国内・海外に展開。
- この活動に共感したLUSH(ラッシュ)がサシバの渡りのルートに沿って原材料を調達することで、日本国内の里山再生を支援。
- 里山の再生につながる田んぼのみから採取した米作りの副産物である藁で作られたギフトボックス「サシバボックス」を開発。
- 日本全国の85店舗およびオンラインストアにて1月18日(金)から発売される5種類のバレンタインギフトに採用。日本以外の計6カ国(香港、韓国、タイ、シンガポール、フィリピン、マレーシア)でも同日より発売予定。
公益財団法人日本自然保護協会(会員約2万4千人、理事長:亀山 章)は、英国を拠点とし、世界49の国と地域でビジネスを展開する化粧品ブランドLUSHと連携し、絶滅危惧種である渡りをするタカ「サシバ」の保全につながる原材料調達を実現しました。
※ LUSHによる原材料調達資金の一部は、日本自然保護協会を通してサシバとその生息地を守る活動に役立てられます。
サシバを守るために、LUSHが渡りのルートから原材料を調達
サシバは猛禽類の一種でタカ科に属する渡り鳥です。全長50cmほどでタカの中でも比較的小柄なサシバは、春になると越冬地の東南アジアから日本に渡来し、繁殖・子育てをします。
秋になると日本各地の繁殖地から沖縄の宮古島等を経由し、東南アジアへ渡っていきます。谷津や谷戸と呼ばれる谷状の地形をした水田や畑には、サシバが好むカエルやヘビの両生爬虫類や、バッタやセミといった昆虫類が豊富に生息しており、サシバにとって餌となる食べ物が豊富なうえ、止まり場や巣を作れる木が豊富にあります。
このような里山環境は絶好の繁殖地であり、サシバが繁殖できる場所は豊かな生態系が育まれているとも言えることから、サシバは豊かな里山のシンボルと呼ばれています。サシバは、2006年に環境省レッドリストで絶滅危惧Ⅱ類に指定されました。宮古野鳥の会によると、秋の渡りで宮古島に飛来するサシバの数は、1980年代に5万羽以上いましたが、2000年代に入ると1万羽程度にまで減少しています。
その減少の一因として背景にあるのが、日本の里山の環境変化です。 日本の里山は、長い間米作りが行われ、人による手入れがあったことで多種多様な生き物が育まれてきました。現在では農業従事者の高齢化や後継者不足などにより、里山からの人の減少や、耕作放棄地の増加などの理由で、サシバにとって必要不可欠な両生爬虫類や昆虫類が生息するような豊かな生態系を持つ里山が減少しています。
一方で、越冬地であるフィリピンで密猟が盛んに行われていたことも原因ではないかと考えられています。日本自然保護協会は、フィリピンでも現地の市民団体と協力をしながら、行政を巻き込んで密猟の防止に取り組んできました。サシバを観光資源とするエコツアーを企画・開催したところ、密猟が大きく減少してほぼゼロになったという実績をあげることもできています。
国際的な保全のムードをさらに高めるため、サシバの繁殖地・中継地・越冬地が連携した「国際サシバサミット」も開催します。第1回は日本を代表するサシバの繁殖地である栃木県市貝町で2019年5月に開催され、サシバが子育てのできる豊かな里山の価値を社会に発信します。
国際サシバサミット2019市貝 https://www.nacsj.or.jp/GFB-SUMMIT/
国際サシバサミット2019市貝 Facebookページ https://www.facebook.com/summitonGRAYFACEDBUZZARD/
米作りの副産物である藁を使ったLUSHのギフトボックス
1月18日から発売するバレンタインギフトアイテム全9種のうち5種を対象に、5県で活動する10の異なる田んぼやグループから購買した米作りの副産物である藁と古紙を配合したサシバボックスを開発しました。店頭やオンラインストアでの販売時は、色鮮やかなデザインが施されたバナナペーパーなどの環境に配慮した紙でラッピングされます。
▲ サシバボックス(中央)とサシバボックスを使用したバレンタインギフトアイテム5種
今回の原材料・資材供給先として協力してくださった皆さま
日本自然保護協会では、今回のような原材料調達は、日本の自然環境や生物多様性を守るための重要な活動のひとつと考えています。今回の原材料の調達では、サシバの渡りのルート上にお住まいで、日頃より日本自然保護協会の活動を応援してくださっている皆さまにご協力いただきました。今後もこのような活動とネットワークが広がるよう、自然保護活動に取り組んでまいります。
※LUSHによる原材料調達資金の一部は、日本自然保護協会を通してサシバとその生息地を守る活動に役立てられます。
岩手県奥州市 | 里山生活学校 河内山 耕氏(米、米ぬか、藁) |
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岩手県花巻市 | 里山耕暮 素風 佐々木 哲哉氏(米、米ぬか、藁) |
栃木県市貝町 | NPO法人 オオタカ保護基金 代表 遠藤 孝一氏/サシバの里自然学校 校長 遠藤 隼氏(米、米ぬか、ニンニク) |
神奈川県横須賀市 | NPO法人三浦半島生物多様性保全 理事長 天白 牧夫氏(藁) |
愛知県豊田市 | 豊田市自然観察の森(指定管理:公益財団法人日本野鳥の会)(藁) 古瀬間町 小野田 繁春氏(藁) とよた自然わくわくクラブ(藁)/ 名城大学農学部生物環境科学科(藁) 香恋の田んぼ米の会 倉地 雅博氏(藁) |
山口県美祢市 | 山口かえる米倶楽部 田原 義寛氏(コメ、米ぬか、藁) |
熊本県上益城郡山都町 | 下田茶園・通潤丹精 下田 美鈴氏(コメ、米ぬか、 緑茶パウダー、緑茶エキス、生姜) |
<参考>
LUSHとは
LUSH(ラッシュ)は、英国生まれのフレッシュハンドメイドコスメブランド。創立以来、新鮮さとオーガニックにこだわった、採れたてのフルーツや野菜、香り高いエッセンシャルオイルを使い、一つひとつ手作りしています。また、原材料は地産地消にこだわり、可能な限り国内で入手し、全ての製品をキッチン(神奈川県の製造工場)で生産し、フレッシュな状態でお客様に商品をお届けしています。また、LUSHは、人・動物・環境に配慮したビジネスを展開しています。化粧品の動物実験廃止や、容器のリサイクルはもちろん、ゴミをゼロに近づけるためにプラスティック容器や包装を必要としない固形商品の開発など、ビジネスを通して社会に存在する様々な課題の解決を目指し、持続的な取り組みを推進しています。http://www.lush.co.jp
RSPCA(王立動物虐待防止協会)グッドビジネスアワードを2006年、2007年、2009年に受賞。2006年にはPETA(動物の倫理的扱いを求める人々の会)のTrailblazer Award for Animal Welfare(動物福祉の開拓者賞)も受賞。共同創立者のマーク・コンスタンティンとモー・コンスタンティンは美容業界への貢献によって2010年の新年叙勲者リストに載りOBE(大英帝国勲章)を受賞。2014年にはオブザーバー・エシカルアワードのBest in Business Award(最優秀ビジネス賞)を受賞、2016年の世界小売業者会議ではWorld’s Most Ethical Retailer(世界で最も倫理的な小売業者)に選ばれました。ショップやウェブサイトは、雑誌「Which?」の顧客調査において常に上位にランクインされています。現在LUSHは世界49の国と地域に約930店舗を展開し、日本では約90店舗を展開しています。
<参考記事>
公益財団法人 日本自然保護協会とは
自然保護と生物多様性保全を目的に、1951年に創立された日本で最も歴史のある自然保護団体のひとつ。会員2万4千人。ダム計画が進められていた尾瀬の自然保護を皮切りに、屋久島や小笠原、白神山地などでも活動を続けて世界自然遺産登録への礎を築き、今でも日本全国で壊れそうな自然を守るための様々な活動を続けています。「自然のちからで、明日をひらく。」という活動メッセージを掲げ、人と自然がともに生き、赤ちゃんから高齢者までが美しく豊かな自然に囲まれ、笑顔で生活できる社会を目指して活動しているNGOです。山から海まで、日本全国で自然を調べ、守り、活かす活動を続けています。http://www.nacsj.or.jp/
日本自然保護協会が取り組むサシバ保全について:https://www.nacsj.or.jp/2018/07/11513/