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2025.01.08(2025.01.09 更新)

<日本自然保護大賞2024>考委員特別賞・沼田眞賞「重井薬用植物園」の授賞セレモニーを開催しました

イベント報告

専門度:専門度1

テーマ:絶滅危惧種環境教育生物多様性地域戦略自然資源人材育成

フィールド:湿地植物園

こんにちは 自然のちから推進部の渡辺です。

12月22日、岡山県倉敷市にて日本自然保護大賞2024の選考委員特別賞・沼田眞賞を受賞した「重井薬用植物園」の授賞セレモニーを開催しました。

「沼田眞賞」は、生態学者で日本自然保護協会の会長もつとめ自然保護に尽力された沼田眞博士の意思を継ぎ、自然を守ることの大切さを発展させていく活動に授与しています。

重井薬用植物園は、岡山県で野生絶滅したミズトラノオをはじめ、ヤチシャジンなど約 100 種の絶滅危惧種の植物を保全するとともに、園外各地で自然保護活動を実施・支援してきたことが高く評価されました。自然観察会や火起こしなどの自然体験教室など教育にも熱心に取り組んでいます。こうした活動には市民ボランティアが大勢参加し、2012 年以降延べ約 6000 人に上ったといいます。植物園が地域の人々をつなげる自然の保全・再生のハブとなり、地域全体をネイチャーポジティブに導いている優れた事例です。

1964 年の整備開始から始まった長年にわたる活動の根底には、植物園創設者であるしげい病院の先代院長重井博氏の「市民のために素晴らしい自然を残しておきたい」という願いが感じられます。沼田眞博士の志を未来に伝えるのにふさわしい活動であるとして沼田眞賞に選ばれました。

授賞セレモニー前日は、重井博氏が保全に尽力した総社市の「ヒイゴ池」もご案内いただきました。

ヒイゴ池は、1990年代に岡山自動車道が作られる際に、建設現場から発見された湿地です。ヒイゴ池には多数の貴重な植物が生育しており、重井博氏が保全の必要性を強く訴え、道路建設計画が一部変更され守られました。日本自然保護協会前理事長で、自然保護大賞選考委員の亀山章がこのヒイゴ池の保全に深く関わっており、当時の様子を想い出しながらヒイゴ池を見て回りました。

ヒイゴ池湿地の画像

ヒイゴ池湿地の画像

見学中の亀山前理事長の画像

集合写真▲ヒイゴ池を管理している総社市役所の皆さまや自然観察指導員の萱原 潤さん、重井薬用植物園園長の片岡博行さん、植物園と一緒に活動をしている蒜山自然再生協議会会長の日置佳之さんも視察に同行いただきました。

翌、授賞式当日は、まずは重井薬用植物園を片岡園長とボランティアの皆さんにご案内いただきました。

ボランティアの方は現在15名ほどいて、週1~2日植物園に通って管理作業をお手伝いされているそう。植物園の一角には家庭菜園ができる場所があり、菜園の手入れをしに来たときに植物園の管理などを手伝ってもらっているそうで、お互いメリットがあるよい仕組みになっていました。

温室の入口に貼られた受賞記念ポスターの画像▲今回の受賞に際し、なんと植物園で受賞記念ポスターを作ってくださっていました!

植物園を見学する一行の画像

温室にて説明を受けるNACS-Jスタッフの画像▲植物園にはさまざまな絶滅危惧種が域外保全されている。

高台から見た植物園の画像

集合写真▲片岡園長のほかボランティアの皆さまと記念撮影

授賞セレモニーでは、選考委員の亀山章(日本自然保護協会前理事長)から挨拶をしたのち、重井博氏の長男で現在のしげい病院院長の重井文博氏より受賞挨拶がありました。

重井文博氏の画像▲「今回こうした受賞できたのはとても嬉しいです。重井薬用植物園の活動を支えてくださっている片岡園長、ボランティアの皆さんが主役です。父がはじめた活動が皆さんの支えによって継続してこられてよかったと思っています。ご協力ありがとうございます」と重井氏。

その後、亀山前理事長より、沼田眞賞の価値や講評をし、賞状と盾を授与させていただきました。

賞状を持つ片岡博行氏の画像▲左から亀山章(日本自然保護協会前理事長)、片岡博行氏(重井薬用植物園園長)、重井文博氏(社会会医療法人創和会理事長)

続いて、片岡園長から受賞挨拶と活動発表がありました。

スライドを使って発表する片岡博行氏の画像

前理事長のスライド画像

2010年から3代目の園長として活動をしている片岡さん。
「今年(2024年)の12月24日クリスマスで植物園は60周年なんです。生物多様性豊かな自然を残したかった2代目園長=古屋野博は重井博と思いを共有し、現在の植物園を作ったそうです。当時、植物園に集めた植物は絶滅危惧種ではなかったのが、その後、自然環境が悪化し、集めた植物がどんどん絶滅危惧種になり、今は域外保全の場としても重要となっています。開園当初は盗掘などもあり一般公開していませんでしたが、現院長の重井文博が、自然を知らない人が増えてしまいまずは自然を知ってもらわないとダメだということで2008年から一般公開し、今に至ります。植物園の活動は、ボランティアの皆さん、そしてさまざまな団体の皆さんにご協力いただいて実現できています」

片岡さんの発表の後、会場にいらしていたボランティアの皆さまやさまざまな団体の皆さまからもお祝いのメッセージが伝えられ、最後に全員で記念撮影をして授賞セレモニーは終了となりました。

関係者全員での集合写真

重井薬用植物園の皆さま、ご関係者様、ありがとうございました。
今後の活動も応援しております!

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