日本自然保護協会は、生物多様性を守る自然保護NGOです。

  • 文字サイズ

スタッフブログ

Home 主な活動 スタッフブログ お茶からはじまる地域課題解決への貢献 奈良県天理市立山田教育キャンプ場に行ってきました

スタッフブログ 一覧へ戻る

2025.01.06(2025.01.06 更新)

お茶からはじまる地域課題解決への貢献 奈良県天理市立山田教育キャンプ場に行ってきました

報告

専門度:専門度1

農園とピクルスくん

テーマ:里山の保全

フィールド:農地、里山

こんにちは、生物多様性保全部の福田です。

秋深まる11月29日(金)、耕作放棄された茶畑の再生を通した地域づくりを各地で実践されている「健一自然農園」代表・伊川健一さんにご案内いただき、奈良県天理市立山田教育キャンプ場の取り組みを視察しました。

「健一自然農園」代表・伊川健一さん

奈良県大和高原で自然栽培のお茶を生産・販売されている「健一自然農園」代表・伊川健一さん。自然を活かした地域づくりの先端事例として2020年度モニ1000里地調査全国交流会でもご発表いただきました(参考:モニ1000里地調査ニュースレターNo.20)。

キャンプ場は、40年ほど前に地元福住地域の方々により自然の地形を大きく変えずに作られた場所で、当時お茶づくりが盛んだったこともあり、キャンプ場の敷地の真隣には茶畑もあります。キャンプ場は子ども会を中心に活用していましたが、利用者の減少で10年ほど前に閉鎖し、その後敷地内にある里山林がナラ枯れで危険な状態になり、茶畑は耕作放棄されお茶の木は高さ2m以上の暗いブッシュ状態になっていました。

伊川健一さんとお茶の木

そのような中、2019年より「いのちに溢れた心を育む森の保育」をモットーにする森のようちえん「ウィズ・ナチュラ」さんがこの場所で活動を開始し、森のようちえんメンバーや保護者の方々などで子どもたちが通る道や広場を中心に下草刈り等の環境修復を開始され、居心地のよい森となってきたそうです。

そこで2022年から福住地域の方々と「健一自然農園」が協力して、茶畑の再生を通した地域づくりの拠点として、キャンプ場真隣の放棄茶畑で丸3年以上育ったお茶の木を根本から丸ごと使う「三年晩茶」の収穫・生産を開始しました。もちろん農薬・肥料不使用。2023年からは茶畑周辺の里山林の管理も開始し、今後は切った薪をお茶の焙煎に活用することでエネルギーの地産地消につなげる予定です。

明るくなったキャンプ場とその周辺ではウコギ科の落葉樹であるタカノツメが紅葉で美しく色づき、茶花の開花も多くなり秋にはハナバチも多く集まってきました。また「ウィズ・ナチュラ」さんが管理を続けてきた場所では林床の草花の種類も増え、ササユリも咲き始めたと言います。

お茶の畑とピクルスくん

写真の両端は20年以上放棄されたお茶の木、中央は2023年冬に根本から刈り取りしたお茶の木。3年以上経てば「三年晩茶」としてまた収穫できます。収穫は、茶葉に含まれるカフェイン量が最も少なくなり体を温める効果が高くなるという厳冬期に行っています。

放棄茶畑周辺の里山林放棄茶畑周辺の里山林

キャンプ場の茶畑で収穫・製品化された三年晩茶キャンプ場の茶畑で収穫・製品化された三年晩茶。天理市立福住小学校・中学校の子どもたちがパッケージデザインを担当。子どもたちの生物多様性に繋がる活動に売り上げの一部が寄付されます。

今後は「森のようちえん」の活動に加え、小中学校での教育利用の再開も目指し取り組みを進めており、「民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域」を国が認定する「自然共生サイト」への登録を目指して様々な立場の人が協力し合い準備を進めています。

耕作放棄された茶畑の再生から里山林の活用、地域の経済、教育にもつながりつつあるこの活動は、まさに持続可能な社会のためのアプローチとして国際自然保護連合(IUCN)が提唱する【自然に根ざした解決策(Nature-based Solution)】に通じるものです。社会課題が山積の今、三方よし、四方よしになりうる活動に、私たちも注目しています。

農薬・肥料不使用のお茶づくりを実践する「健一自然農園」のお茶は、NACS-J「里山の生きものと、その生息環境を守る活動」の寄付キャンペーンのお礼品にもなっています。かえるのピクルスのエコバックもお礼品です。ぜひ応援をお願いします。

※健一自然農園の福住地域を中心とした活動は、“環境と社会によい暮らし”を表彰する「第12回グッドライフアワード」で環境大臣賞を受賞されました!

「第12回グッドライフアワード」環境大臣賞最優秀賞等が決定!!(環境省のウェブサイトに移動します)

寄付の返礼品のお茶セット健一自然農園 自然栽培お茶ギフトセットは、3万円寄付のお礼品になっています。

【ご寄付のお願い】

日本自然保護協会では、里山の生きものたちの減少の原因究明に努め、保全活動や政策提言を行っています。
未来に、里山の生きものたちを守り繋ぐために、皆さまのご支援をお願いいたします。

画像をクリックすると寄付ページに移動します。

スタッフブログ 一覧へ戻る

あなたの支援が必要です!

×

NACS-J(ナックスジェイ・日本自然保護協会)は、寄付に基づく支援により活動している団体です。

継続寄付

寄付をする
(今回のみ支援)

月々1000円のご支援で、自然保護に関する普及啓発を広げることができます。

寄付する