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2024.12.24(2024.12.27 更新)

生物多様性条約COP16の3つのポイント

報告

専門度:専門度2

COP16本会議場の様子

本会議場の様子

テーマ:生物多様性条約

生物多様性条約第16回締約国会議(COP16)が、南米コロンビアのカリ市で、2024年10月21日から11月1日にかけて開催されました。資金の議題が折り合わず時間切れとなり、続きは2025年2月の再開会合で話し合われます。この点だけ見ると失敗のような印象もありますが、前進と評価できる成果も数多くあります。3つのポイントで紹介します。

1. 企業を含む参加者・注目の拡大

条約事務局作成の参加者一覧を比較すると、生物多様性世界枠組み(GBF)が決まるため注目されたCOP15は9100人の登録者であるのに対し、COP16は1万3000人の登録者となりました(約1.5倍増)。特に企業参加者は600人から1200人と2倍になり、企業や金融機関に関する生物多様性関連情報の開示や、目標・行動立案のためのガイダンス(指針)など企業関連の発表も注目されました。COPが回を追うごとに生物多様性に関する世界中の優良事例や関係者が集まる注目の場へと変化していることを感じます。

2. GBF達成のための決定

資金や指標は時間切れで継続審議となりましたが、それ以外のGBF達成のための決定は数多く行われています。例えば、世界各地の18の機関(うち、4つはIUCNの地域事務所)が、途上国を能力や技術で支援する技術支援センターとして指名されました。外来生物対策については6つの専門的なガイダンスがまとめられ、健康と生物多様性に関する世界プログラムも採択され、ワンヘルスアプローチ(自然の健全性と、人々や家畜の健康を一緒と捉えて課題解決を目指す考え)が世界で浸透していくことになります。

3. 自然の危機、政策の遅れ

企業を含む多様な関係者の参加や、COPにおける意思決定は良いニュースですが、IUCNや国連機関による発表では、まだまだ取り組みが足りていないことが明らかになりました。COP16期間中に更新された最新のIUCNレッドリストによると、樹木種の38%、温帯海域の造礁サンゴの44%が絶滅危機にあることが発表されました。国連環境計画が発表した「Protected Planet Report2024」では、注目の「30 by 30目標(陸域・海域の30%を保護保全地域にする)」が、現在、陸域17.6%、海域8.4%にしか届いていないとし、さらなる保全の加速が必要であると呼び掛けています。

NACS-JやNACS-Jが事務局を務める国際自然保護連合日本委員会では、COP16の成果をしっかり分析し、日本の自然保護の底上げに活用していきます。

G7関係サイドイベントでの司会G7関係サイドイベントでの司会。ネイチャーポジティブ経済の実現に向けた取り組みについて話し合われ、主に企業による優良事例の紹介が行われた

担当者から一言

道家さん顔写真

リポーター
保護・教育部 道家 哲平

次回COP17は2026年秋に東欧のアルメニアで開催予定。GBFの中間評価が焦点となります。

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