2024.10.28(2024.11.22 更新)
フィリピンにて第4回国際サシバサミット開催
イベント報告
専門度:
各国の市町村の代表者がこれからもサシバの保全に取り組んでいくことを調印・宣言。次回の開催地である宇検村の元山村長(写真中央)が、サンチェスミラ市のBagasin市長(写真左)より熱いバトンを受け取った
テーマ:国際里山の保全生息環境保全絶滅危惧種
フィールド:絶滅危惧種国際連携
NACS-Jは、サシバの繁殖地・中継地・越冬地を保全するため、国内外の自治体、NGOと連携して、国際サシバサミットの開催を推進してきました。
2019年に栃木県市貝町で第1回を開催し、沖縄県宮古島市、台湾墾丁国立公園と続き、第4回は2024年3月、フィリピン・ルソン島北部のサンチェスミラ市にて開催することができました。このサミットの様子をお伝えします。
密猟の対象から街のシンボルへと変化したサシバ
サンチェスミラ市は、サシバが春の渡りを行う際の中継地の一つとなっています。今回のサミットの際にも、無数に舞うサシバの姿を見ることができました。
サシバのねぐら観察では多くのサシバが舞う姿を見られた
しかし実は、近年まで密猟により毎年数千羽のサシバが捕殺されている状況がありました。それを知った現地のNGOが立ち上がり、密猟の取り締まりや子どもたちへの啓発活動を続けたことで、現在は密猟ゼロに至りました。
また活動のおかげでサシバに対する市民の意識が変化し、現在では、重要産業であるココヤシ栽培の害虫を捕食する調整者として、あるいはエコツアーの観察対象として市民に愛されています。
今回のサミットは、盛大なオープニングセレモニーで迎えていただき、市民の関心と熱意の強さに圧倒されるところからはじまりました。
道路の奥までずらりと並ぶ学生たちによる熱烈な歓迎
今回、海外からは、日本を含めた6カ国が参加し、日本からは、鹿児島県奄美大島の宇検村と、アジア猛禽類ネットワーク、日本野鳥の会、日本鳥類保護連盟、奄美野鳥の会、NACS-Jが参加しました。
各団体より、各地で行われてきた保全や調査研究の活動報告がありましたが、渡りのルートや各地で何を食べているかなど基礎生態に不明な点が多くあり、サシバを保全していく上で研究者の力がまだまだ必要なことが分かりました。
次回は2025年10月に奄美大島の宇検村で開催予定です。その時期は、渡りも終わりに近づき、越冬のための縄張りを争うサシバの姿を島中で見られるはずです。1羽でも多くのサシバが当日舞えるように、これからもNACS-Jは各自治体・団体と協力してサシバの保全活動に取り組んでいきます。
担当者から一言
リポーター
自然のちから推進部 野一色 麻人
サシバという鳥が街中の人の心を動かし、そして街のシンボルとして愛されている光景にとても感動しました。