2024.08.30(2024.09.04 更新)
知床岬・携帯電話基地局整備の中止を!
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専門度:
テーマ:世界遺産
フィールド:世界自然遺産
知床岬の携帯電話基地局整備について、NACS-Jは5月に関係省庁や携帯電話事業4社に対し、反対の意見を提出しました。
これにより、地元や全国の環境団体、学会などからも反対意見が相次いで出されました。現在、世界遺産の地域科学委員会からの要請もあり、知床岬の工事は中断しており、来年春からオジロワシの繁殖状況調査、希少植物調査が行われる予定です。
ユネスコ世界遺産センターへ問題点を通知
6月12日にNACS-Jは北海道自然保護協会と連名でユネスコ世界遺産センターに、携帯電話基地局整備が世界遺産の“顕著な普遍的価値”に影響を及ぼす可能性がある旨の通知書を提出しました。通知書では、工事前に行うべき環境影響の調査の不備、周辺に生息するオジロワシへの悪影響など、保護地域制度の運用を歪める最悪のケースとなる懸念を伝えました。
世界遺産条約は、NGOのような「締約国以外の情報源」から遺産の重大な劣化についての情報が通知された際に、世界遺産センターが締約国にその情報の内容確認とコメントを求める手続きを定めています。7月に世界遺産センターは日本政府に対し情報照会を行いました。2カ月を目処に、政府・環境省は世界遺産センターに回答しなければなりません。
また、携帯基地局の整備管理を行う事業者である大手通信会社4社の環境責任が問われる可能性もあります。
来年、知床は世界遺産登録20周年を迎えます。この問題を長期化させないためにも、知床岬の携帯電話基地局整備計画を中止し、衛星電話利用や今後開発が進む衛星技術など代替え手段の導入を知床半島で早期に進めるべきです。
工事地点を示した知床岬の画像(Google Earthによる衛星画像上にNACS-J作図)
知床岬を観光船から見た図(2024年6月)
担当者から一言
保護・教育部 大野正人
今年は知床国立公園60周年でもあり、新たな技術で早期解決を目指すべきです。