2024.06.26(2024.06.27 更新)
知床半島で携帯電話基地局の計画に意見書
報告
専門度:
知床岬での携帯電話基地局の計画案(Google Earthによる衛星画像上にNACS-J作図)
テーマ:生息環境保全森林保全世界遺産国立公園
フィールド:国立公園
世界自然遺産の知床半島で携帯電話基地局整備が進んでいます。これに対してNACS-Jは国の関係省庁と携帯電話事業4社へ大きな懸念を示す意見書を提出しました。
この計画は、2022年4月に起きた知床観光船沈没事故が発端で、知床半島の海域で携帯電話が通じるようにするためです。電源確保のために、7,000m2に太陽光発電・蓄電池施設を設置し、アンテナを付設する灯台まで2kmのケーブルを埋設する計画です。
知床岬は、国立公園特別保護地区に指定され、特に厳重に守る必要があるエリアです。また、知床のような原生自然では、利便性よりも不便さを伴う非日常の自然体験を優先させるべきです。
北海道自然保護協会などからも意見が相次いでおり、環境省が6月7日に開いた世界遺産の科学委員会では、工事の中断、再調査、事業の必要性の再検討が委員会から要請されました。NACS-Jは、知床が悪例となり、全国の国立・国定公園に派生しないよう環境省に要望します。
担当者から一言
リポーター
保護・教育部 大野正人
2年間、関係者の中だけで検討が進み、具体的な計画が公表されず、誰も疑念を示せなかったことも問題です。