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2024.06.26(2024.07.01 更新)

都道府県の半数がアセス配慮書を設定せず

調査報告

専門度:専門度4

風力発電装置と重機の画像

テーマ:里山の保全生息環境保全森林保全環境アセスメント

フィールド:再生可能エネルギー

1997年に大規模な開発行為による環境影響を低減することを目的に環境影響評価法が制定されました。この法律に基づいた環境影響評価(以下、アセス)を通称、法アセスと呼びます。また、各都道府県などで、より規模の小さな事業に対して、条例によりアセスを義務付けています(条例アセス)。

2011年、法アセスには、事業の早期段階で環境配慮を図ることを目的に、複数案を提示することなどが求められる計画段階環境配慮書(以下、配慮書)が新設されました。それから13年経過していますが、未だに半数の都道府県の条例アセスには、配慮書が設定されていません。早期の設定が求められます。

法アセスには規模要件により、必ずアセスを実施する第1種事業と、実施するかを個別に判断する(スクリーニング)第2種事業があります。第2種事業は第1種の4分の3に下限規模が設定されています。もしスクリーニング後に法アセス対象事業となったとしても、配慮書手続きが免除されます。現在アセス対象事業の約8割が風力発電事業ですが、2021年10月より風力発電事業の法アセス対象事業の規模は、第1種が出力1万kW以上から5万kW以上に大きく引き上げられました。その結果、条例に配慮書を課している都道府県でも、法アセスの第2種対象事業の件数が急増し、配慮書を出さない事業が増えています。例えば2024年1~5月に北海道でアセス手続きが開始された風力発電事業の9件中6件は配慮書の提出がされていません。

配慮書手続きを避けた第2種事業が急増!図:各アセスの対象となる規模

環境に配慮して事業を実施するためには、国、地方自治体、事業者が真摯に環境の調査を行い、コミュニケーションをとることが重要です。栃木、岡山、香川、佐賀、宮崎、鹿児島の6県では、これまでのアセス手続き情報を十分にウェブサイトで開示しておらず、アセスの役割からすれば、改善の必要性があります。

表:都道府県別の条例アセスの状況

配慮書の有無 風力発電事業の条例アセス下限規模[第1種] 過去の案件の公開状況
北海道 1万kW
青森 × 1万kW
岩手 × 0.75万kW
宮城 × 0.75万kW
秋田 × 1万kW
(0.75万kW)
山形 3.75万kW
(2.5万kW)
福島 × 0.7万kW
茨城 × 0.75万kW
栃木 × アセス対象外 ×
群馬 × アセス対象外
埼玉 アセス対象外
(20ha)
千葉 0.75万kW
東京 アセス対象外
神奈川 0.5万kW
(0.05万kW)
新潟 × アセス対象外
富山 × アセス対象外
石川 1万kW
福井 0.75万kW
山梨 × 0.75万kW
長野 0.5万kW
(0.05万kW)
岐阜 × 0.15万kW
静岡 × 0.75万kW
愛知 0.75万kW
三重 × 0.75万kW
滋賀 0.15万kW
京都 0.15万kW
大阪 × アセス対象外
兵庫 0.15万kW
(0.05万kW)
奈良 アセス対象外
和歌山 × 0.75万kW
鳥取 0.15万kW
島根 0.5万kW
岡山 × 0.15万kW
(0.075万kW)
×
広島 × 0.5万kW
山口 1万kW
徳島 0.75万kW
香川 0.5万kW
愛媛 × 0.5万kW
高知 × 1万kW
福岡 0.5万kW
佐賀 0.35万kW ×
長崎 0.75万kW
または10基
熊本 アセス対象外
(0.5万kW)
大分 0.75万kW
宮崎 × 0.5万kW
鹿児島 × 0.75万kW
沖縄 0.15万kW
(0.075万kW)

下限規模:
( )内は国立公園など重要な地域の場合
公開状況:
◎アセス図書の要約もあり
○過去の案件を常時公開
△手続き中のアセスのみ公開

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担当者から一言

若松さんの顔写真

リポーター
保護・教育部 若松伸彦
今年からアセス法の改正に向けた動きがあります。より良いアセス手続きが行われるよう改善を求めていきます。

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