2024.06.26(2024.06.27 更新)
「全国砂浜ムーブメント」参加者累計170万人!5年間の活動を報告します
報告
専門度:
テーマ:自然観察ツール海の保全子育て砂浜ムーブメント
フィールド:海海辺砂浜
多くの企業や団体、市民の皆さまと連携して、自然海岸の減少や海ごみの問題など、海や砂浜が直面している課題の解決を目指し開催してきた「全国砂浜ムーブメント」。2019年から2023年の5年間の活動について振り返ります。
砂浜を見る目を増やす
砂浜ムーブメントでは、「砂浜を守る3つのアクション」を呼びかけ、5年間で累計170万人以上の方に教育ツールやアプリを活用いただくことができました(表1)。砂浜の環境教育ツールは世界的に見ても少なく、砂浜ノートを作成するところからのスタートでしたが、3つのアクションの相乗効果により、ごみ拾いの活動はしていたけれど、砂浜の自然環境や生きものにふれることのなかったという方にもご参加いただくことができました。
表1 砂浜を守る3つのアクション
①砂浜ノートを子どもたちに届けよう! | 配布数※1 | 95,000部 |
---|---|---|
②砂浜の生きものをしらべよう! | データ数※2 | 231,682件 |
③砂浜や街中でごみを拾おう! | ごみの数※3 | 17,673,354個 |
※1 NACS-Jで把握できた数に限る
※2 いきものコレクションアプリ「BIOME」で把握できた数に限る
※3 ごみ拾いSNS「Pirika」で把握できた数に限る
表2 砂浜ムーブメント参加者数
自然観察会やセミナー等の参加人数※1 | 2,073 |
---|---|
生きものしらべ参加者数※2 | 35,273 |
ごみ拾い参加者数※3 | 68,796 |
ごみ拾いへの「ありがとう」の数※3 | 2,799,335 |
ごみ拾いが周りの人に影響を与えた数※3 | 1,506,952 |
「愛され砂浜」TOP5
自然は気付いたらなくなっていることもあります。見守る人は大切です。そこで5年間でたくさんの方がアクションをしてくださった砂浜を「愛され砂浜」としてランキングしました。スマートフォンアプリ(BIOME)を使った生きものしらべでは、砂浜とその周辺で見られた多様でユニークな生きものデータが寄せられました。小さな砂浜なのに生物種数が多かったり、逆に広大な砂浜なのに生物種数が少ないなど、砂浜ごとに特徴も見られました。(表3)
表3 「愛され砂浜」TOP5
砂浜名 | 所在地 | 見つけた生物種の報告数※2 | 拾われたごみの数※3 | 砂浜でアクションをしてくれた人数※1、※2、※3 |
---|---|---|---|---|
西なぎさ | 東京都江戸川区 | 885 | 13069 | 1536 |
阿真ビーチ | 沖縄県座間味村 | 29 | 94169 | 785 |
矢ノ浦海岸 | 広島県江田島市 | 107 | 448637 | 720 |
浜甲子園 | 兵庫県西宮市 | 147 | 52381 | 232 |
御前浜 | 兵庫県西宮市 | 85 | 36023 | 193 |
各砂浜の周辺の生きものデータも含む
境遇によらず体験を届ける必要性
活動の中で聞こえてきたのは、「海や砂浜での過ごし方が分からない」という声。そして、子どもの自然体験格差でした。そこで2020年からは、ひとり親家庭の親子を対象にした砂浜教室にも力を入れました。「砂浜はごみを拾う場所のように感じていたけれど、生きものがたくさんで驚いた」「子どもを海辺に連れて行きたいけれど、安全面や交通手段などの問題から難しい」といった声は多く、現代の子どもたちの海や砂浜への関心度や体験の格差の実態を強く感じました。
ひとり親家庭の親子を対象にした砂浜教室。砂浜応援団でシンガーソングライターMiyuuさんにもご参加いただいた。
砂浜を見る目を増やす砂浜ムーブメントのプロジェクトはこれで一区切りとします。今後は、5年間で寄せられた膨大なデータや作成した活動ツールを活かして、海や砂浜で活動する自然観察指導員や砂浜アクティビストの皆さまの活動支援、海や砂浜での自然体験機会の創出など、新たな展開を検討しています。
5年間の報告の詳細は、砂浜ムーブメント特設サイトで公表予定です。
※日本自然保護協会の活動は皆様からの会費やご寄付で支えられています。日本自然保護協会の活動にご支援をよろしくお願いいたします。
担当者から一言
リポーター
自然のちから推進部 櫻井亜里沙
2020年、クラウドファンディングで砂浜ノート5万部の作成が叶い、全国の皆さまに配布・活用いただいたことをきっかけに、ムーブメントの輪が広がりました。豊かな海や砂浜の自然環境を次世代に引き継ぐため、5年間の活動を活かしていきたいと思います。これまでご協力・ご参加くださった皆さま、本当にありがとうございました。