2024.04.30(2024.04.30 更新)
活動開始から20年を迎えた赤谷プロジェクト記念報告会を開催しました
イベント報告
専門度:
赤谷プロジェクト20周年記念報告会の様子。発表を行う地域協議会若手3名。
テーマ:森林保全絶滅危惧種川の保全里山の保全ユネスコエコパーク生物多様性地域戦略生息環境保全
フィールド:まちづくり自然再生
群馬県みなかみ町に位置する約1万haの国有林で、生物多様性の復元と持続的な地域づくりに取り組む「赤谷プロジェクト」は、2023年度に20周年を迎えました。
みなかみ町内で開かれた記念報告会について、ご報告いたします。
20年の成果
赤谷プロジェクトは、2003年11月に発足してから、林野庁、地域協議会(地域住民)、NACS-Jが力を合わせ、活動してきました。人工林から自然林への復元に向けた伐採試験、イヌワシの狩場創出、ニホンジカの低密度管理、防災と渓流環境復元の両立などに、モニタリング調査を重ねながら挑戦し成果を得ています。同時に、環境教育や地域づくりにも取り組んできました。
2月3日、みなかみ町カルチャーセンターで「赤谷プロジェクト20周年記念報告会」を開催しました。みなかみ町による小学生の環境学習発表会と同日同会場で開催し、子育て世代にも広く呼び掛け、137名が報告会に参加しました。会場ではポスター展示や、カスタネットへの絵付け体験などの子どもが楽しめるブース、赤谷プロジェクトとつながりのある物品や飲食物の販売など、地域の皆さんと一緒に会を盛り上げることができました。
報告会ではまず林野庁が、20年の成果を報告し、今後のさらなる赤谷の森の林産物やフィールドの活用を呼びかけました。
続いて、町役場職員でもある地域協議会理事から、成果の一つが「みなかみユネスコエコパーク」登録であり、まちづくりの中心的な考え方になっていることを説明。NACS-Jからは、2023年度より10年間の枠組みで始まった、企業版ふるさと納税を活用した「みなかみネイチャーポジティブプロジェクト」について報告。国際的な潮流に即したみなかみ町での取り組みや、1年間の活動成果を紹介しました。
最後に、地域協議会の若手3名が、それぞれが行う茅場再生や自伐型林業、登山ガイド、道の駅たくみの里での取り組みなどの活動を紹介し、赤谷プロジェクトとのつながり、次の10年に向けた提案を話しました。その後、会場にマイクを回し、来場者と活発な対話を行いました。
次の10年に向けて、改めて地域の産業や課題解決と赤谷プロジェクトの取り組みとの接点を見出し、多様な関係者と共に、国際的な流れも踏まえつつ、全国のモデルとなる挑戦を積み上げていきたいと思います。
植生試験/2006年:カラマツ林を帯状に伐採(写真:林野庁)
植生試験/2021年:カラマツ林の伐採から15年後(写真:林野庁)
報告会での子ども向け体験コーナー。スギの球果などを活用した森のかけらストラップづくり、カスタネット絵付け体験などを行った。
赤谷プロジェクト20周年を住民としてお祝いしたいと委員会を立ち上げ、地域内の飲食業者を巻き込んで盛り上げているYujuカンパニーによる「イヌワシあんぱん」。この日の売上の一部はNACS-Jに寄付された。
みなかみ町のオクトワンブルーイングによる特別なクラフトビール。イヌワシの狩場創出のために伐採されたスギのアロマオイルで香り付けされている。オクトワンのビールは、売上の一部がNACS-J に寄付されている。
担当者から一言
リポーター
生物多様性保全部 森本裕希子
赤谷プロジェクトは、地域の自然を守りたいと開発計画に立ち向かった住民の皆さんを起点に始まりました。20周年を機に、当時活動を支えた方々から直接お話を伺い、その努力の種が花開くように今の成果があること、想いをつなぐ責任を再認識しました。