2024.04.25(2024.04.24 更新)
ネイチャーポジティブ貢献証書について
募集
専門度:
テーマ:生物多様性地域戦略自然資源生物多様性条約里山の保全
1.ネイチャーポジティブ貢献証書とは
日本自然保護協会では、自治体や企業等との多様なパートナーシップによって市町村を基にしたネイチャーポジティブの実現を目指す「日本版ネイチャーポジティブアプローチ」に取り組んでいます。この度、ネイチャーポジティブの実現に取り組む企業向けに「ネイチャーポジティブ貢献証書(以下、貢献証書)」の発行を含む「ネイチャーポジティブ支援プログラム」を開始しました。
貢献証書は、「日本版ネイチャーポジティブアプローチ」に参加を表明した企業の生物多様性保全の取組等について、保全や回復の状況、生態系サービスへの貢献を市町村の目標設定に即して定量的に評価し、日本自然保護協会と市町村が連名で発行するものです。
2.貢献証書における評価手法
企業の生物多様性保全の取組等について、市町村のネイチャーポジティブの実現への貢献を表1の評価手法を用いて評価し、貢献証書の付属書に記載します。また、その貢献について、世界目標である昆明・モントリオール生物多様性枠組の目標1~8との対応を整理し掲載します。目標設定がない市町村においては、目標設定に向けた貢献を、市町村全域の生物多様性と生態系サービスへの貢献として評価します。
評価方法の詳細については説明書をご覧ください。評価手法は、市町村や企業のニーズも考慮しながら今後も追加・改良を行います。
表1.ネイチャーポジティブ貢献証書の評価手法
評価手法 | 説明 |
---|---|
重要地域と課題 | 地域の専門家からのヒアリングと、既往文献等の調査によって、市町村内の生物多様性の重要地域と課題を把握します。重要地域は、生物多様性の希少性・危急性・相補性・連結性の観点から評価します。その結果を箇所数・面積、課題に整理します。 |
重要地域のギャップ分析 | 重要地域において、自然公園法等による保全担保措置が取られているか否かを評価(ギャップ分析)します。この現状評価は、地域での効率的、効果的な保護地域設定に活用できます。 |
生物の分布予測 | 企業が支援や保全活動を行った場所について、分布している可能性のある生物種数を、統計学的手法を用いて予測します。全国規模の生物分布情報と、地形・気象・土地利用等から、植物・鳥・昆虫の分布を250mメッシュ単位で予測します。 |
生態系ネットワーク機能の維持向上 | 企業が支援や保全活動を行った場所の生態系ネットワーク(エコロジカルネットワーク)機能を評価します。具体的には、生物の生息地の配置・面積からHanski連結性指数を算出します。この指数は、連結性を評価する指数であり、最寄りの生息地が近い、大きい、数が多いほど大きな値になります。 |
世界全体の絶滅リスク低減への寄与度(STAR) | IUCNが提供するツールを用いて、「世界全体の絶滅危惧種の絶滅リスク低減への寄与度(STAR)」を算出します。この値は世界全体の絶滅危惧種の生息状況のデータに基づいて算出され、値が高いほど世界全体の絶滅危惧種の絶滅リスク低減へ貢献できる可能性のある場所であることを示しています。 |
地下水涵養量、炭素吸収量(J-ADRES※) | J-ADRES「自然の恵みと災いからとらえる土地利用総合評価」の評価結果を用いています。J-ADRESは、地下水涵養量や炭素吸収量などの生態系サービスを、土地利用や植生タイプ、気候条件等の情報から100mメッシュ単位で推定したものです。 |
IUCNの「NbS世界標準」への適合度 | 企業が支援した「自然に根ざした解決策」に関する保全活動等がNbS世界標準にどの程度適合しているかを評価します。8つの大項目と27の小項目で構成される「NbS自己評価ツール」から適合度が算出されます。 |
※総合地球環境学研究所Eco-DRRプロジェクト(2023)J-ADRES:自然の恵みと災いからとらえる土地利用総合評価.
https://j-adres.chikyu.ac.jp/
3.日本版ネイチャーポジティブアプローチに参加いただくには
貢献証書の発行は、日本版ネイチャーポジティブアプローチに参加している市町村・企業において行います。ネイチャーポジティブの実現を目指し、貢献証書の発行や市町村とのパートナーシップ構築に関心のある方は下記担当までご連絡ください。
問い合わせ・参加登録申請窓口
公益財団法人 日本自然保護協会
ネイチャーポジティブタスクフォース
(担当:高川、出島、原田)
メール:naturepositive@nacsj.or.jp
TEL: 03-3553-4101 (代表)