2023.12.18(2023.12.18 更新)
【連載】遺贈寄付を知ろう「第19回:あの公益団体に遺贈寄付しても本当に大丈夫?…確かめる時に役に立つ“少額お試し寄付”」
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フィールド:活動支援寄付
NACS-Jではここ数年、遺贈寄付に関するご相談が寄せられることが多くなってきました。まだ元気なうちに人生のエンディングの準備を進め、遺産の活かし方をご自身で決める方が増えているようです。
遺贈寄付とは、人生の最後に財産が残った時に、その一部を公益団体などへ寄付をすること。自分の想いを未来に託し、自身亡き後に財産を社会に有効に活かす方法の一つとして、注目が高まっています。ご相談の事例から、お悩みや不安の解決につながるヒントをご紹介します。
【連載】遺贈寄付を知ろう ~ あなたの想いと自然を未来につなげるために
第19回:あの公益団体に遺贈寄付しても本当に大丈夫?…確かめる時に役に立つ“少額お試し寄付”
財産をよりよく活かす方法として、最近選択する方が増えている「遺贈寄付」。関心はあるのだけれど、どういう団体に遺せばよいのか、お悩みの方も多いと聞きます。
いきなり「遺贈寄付」の寄付先の団体を決めるのは勇気が要りますが、お試し寄付や少額寄付を通じて、団体の活動や寄付の使い方を見守ったうえで、遺贈寄付先の選択を検討される方もいらっしゃいます。
最近、ご支援の方法について、わたしたちにお問い合わせいただいた方々の例をご紹介します。
「新聞に載っていた遺贈寄付特集で、日本自然保護協会のことを初めて知りました。長年、日本の自然を守ってきた団体があったんだと嬉しくなりました。遺贈寄付についてはまだ考えていないのですが、以前から環境保全活動に関心はあったので、まずは少額でも寄付できたら応援したいので、案内の資料を送ってください。」
「自然の中を歩くのが好きで、地域の自然観察ボランティアで仲間とともに活動してきましたが、体を壊して思うように出かけられなくなってしまいました。今後は、私の人生を豊かにしてくれた自然に恩返しようと、まずはプロジェクト募金で少しずつ返そうかと思っています。」
「遺贈寄付にちょっと関心があって、数年前から年会費の寄付を続けてきましたが、後期高齢者になったので、会費寄付は今年限りで終わりにさせてもらいます。その代わりに、日本自然保護協会に遺産の一部を渡せるよう遺言書を書いておこうと思うので、相談にのってもらえませんか。」
ライフスタイルや価値観、家族のカタチなど何もかもが多様化し、ひとりひとりが自分の想いを大切に生きていく時代の中、寄せられるご相談は、より豊かに自分らしく過ごすための選択として、ご寄付による支援をお考えいただいたことがよくわかります。
日本自然保護協会の活動は、私たちの取り組みに共感してくださった方々からのご寄付で成り立っています。50代~70代の方が多く、特定のプロジェクトに募金をくださる方、毎年定額の少額寄付を続けてくださる方、お金の寄付はできないけれど不用品の寄付ならと思ってくださる方、初めてのご寄付で遺贈遺言の作成をご検討くださる方など、想いを実現するカタチはさまざまです。
遺贈寄付は、寄付がされるのは自分が亡くなった後なので、老後のお金を心配することなく、財産は最後まで自分の好きなように使えます。高額な寄付をする必要はなく、最後に残った財産の行き先を自分で決めておくことができ、自身亡き後も寄付先から感謝をされ、子どもや孫の心の中にいつまでも自分の想いを遺すことができます。
遺贈寄付先の団体を選ぶために役立つ方法
ただし、大切な財産の最後の寄付先になるわけですから、寄付先の選定は慎重にしたいものです。自分の人生を振り返り、影響を受けた経験や人物などを考えたときに、心から応援したいと思える団体や活動が浮かび上がってくるのではないでしょうか。とは言っても、公益団体は活動分野も活動地域も、歴史や規模もさまざまで、どこを支援したらよいか迷ってしまうこともあると思います。
そういった時は、まず気になる団体に資料請求してみることをおすすめします。案内パンフレットや活動報告書には、その団体のポリシーや特徴がよく表れています。その上で、イベントやボランティアに参加して、団体との相性を肌で感じてみるのもよいと思いますし、少額の寄付をして、期待どおりの反応が返ってくるか確認するのもよいでしょう。
生前から遺贈先団体に少しずつ寄付をして、団体から郵送される活動報告などに家族が目を留めることができるようにしておくのは、家族が遺言に遺贈寄付の希望があることを知ったときにも共感や理解を得ることに役立ちます。
寄付を受ける団体も、必ずしも遺贈寄付の受入れ実績が豊富な所ばかりではありませんし、あらゆる財産を受けられるわけでもありません。たとえば、不動産や有価証券のままでの寄付や、全財産もしくは全財産の一定割合を寄付する包括遺贈を受けていない団体もあるので、気になる団体があったら確認をとってみることが大切です。最近は、遺贈寄付に関するセミナーを開催する団体も増えてきたので、気軽に参加してみるとより詳しい情報が得られるでしょう。
自分で数多くの団体を直接調べるのは大変という場合は、相続・遺言の専門家に希望に合う団体を探してもらえるようお願いすると、意中の候補はかなり絞られてくるはずです。最近は、信託銀行や相続・遺言分野の弁護士・司法書士等だけでなく、
- 全国レガシーギフト協会の「いぞう寄付の窓口(https://izoukifu.jp/)」
- 遺贈寄附推進機構の「相談サポート(https://www.wizo-kifu.com/donor.html)」
- 日本承継寄付協会の「えんギフト(https://contents.izo.or.jp/engift)」
- READYFORの「遺贈寄付サポート窓口(https://izo.readyfor.jp/)」
- JELF日本環境法律家連盟の「みどりの遺言プロジェクト(http://jelf-justice.net/)」など
遺贈寄付をもっと広めようと相談サポートサービスを行う専門機関も増えてきましたので、こうしたサービスを利用するのもひとつの方法です。
日本自然保護協会では、資料請求をされた方やセミナーに参加された方々から、少額のご寄付とともに数々のメッセージをいただき、日本の自然を守る輪がさらに広がっています。
「サンゴ礁の海を守るプロジェクトに寄付をしたら、翌年に寄付の成果がまとめられた活動報告書が届きました。自分がどんなことに貢献できたのかを知ることができ、信頼できる団体だと思いました。」
「持病の悪化が心配だったので、まずは専門家にお願いしてそちらへ遺贈寄付をすることを記した遺言書を作成しました。専門家から作成完了のご報告をしてもらったところ、活動報告書とともに支援を募っている活動の案内が毎年届くようになり、気になる活動テーマを見つけると時々少額寄付を贈っています。」
「先日オンラインセミナーの案内をもらい、遺贈寄付のセミナーと、生物多様性のセミナーに参加してお話を聞かせていただきました。やはり日本の自然を守ることは大切だという想いがさらに募りました。遺贈寄付はいくつかの団体に考えていますが、何年先になるかわかりませんし、近いうちの寄付も役立つと思うので、生前寄付として少額ですが、応援したいので資料を送ってください。」
遺贈寄付や相続財産からのご寄付は、法務・税務・終活等の専門家と連携し、丁寧かつ慎重にご相談を重ね、最適な形で実現するためのサポートを行っています。どうぞお気軽にご相談ください。
お問合せは以下のEメールまたはTELまで。ご案内資料の送付を希望される場合は、ご住所とお名前をお知らせください。
公益財団法人日本自然保護協会(NACS-J) 遺贈・遺産寄付担当(芝小路、鶴田)
E-mail memory@nacsj.or.jp/TEL 03-3553-4101(代表受付、平日10:00~17:00)
コラム「遺贈寄付を知ろう」 連載目次ページ
https://www.nacsj.or.jp/news/2023/10/37315/