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Home 主な活動 スタッフブログ 【連載】遺贈寄付を知ろう「第7回:公正証書遺言と自筆証書遺言のちがい」

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2023.08.23(2023.11.06 更新)

【連載】遺贈寄付を知ろう「第7回:公正証書遺言と自筆証書遺言のちがい」

解説

専門度:専門度1

遺贈寄付を知ろう〜あなたの想いと自然を未来につなげるために

フィールド:活動支援寄付

NACS-Jではここ数年、遺贈寄付に関するご相談が寄せられることが多くなってきました。まだ元気なうちに人生のエンディングの準備を進め、遺産の活かし方をご自身で決める方が増えているようです。

遺贈寄付とは、人生の最後に財産が残った時に、その一部を公益団体などへ寄付をすること。自分の想いを未来に託し、自身亡き後に財産を社会に有効に活かす方法の一つとして、注目が高まっています。

そこで、NACS-Jの遺贈寄付アドバイザーで遺贈寄附推進機構(株)代表取締役の齋藤弘道さんに、遺贈寄付の基礎知識や今すぐ役立つ準備の進め方のポイントをお聞きしました。


【連載】遺贈寄付を知ろう ~ あなたの想いと自然を未来につなげるために

第7回:公正証書遺言と自筆証書遺言のちがい

Q.遺言書には、いくつか種類があるのでしょうか。

A. 私はこれまで数多くの遺言作成や相談に携わってきた中で、さまざまな遺言書を見てきましたが、一般的に使われているのは「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」の2種類です。それぞれに作成方法やかかる費用が異なります。

自筆証書遺言 公正証書遺言
保管場所 自宅などで保管 法務局保管制度 公証役場
費用 無料 申請手数料3900円 相続額に応じた手数料
16000円以上
証人 不要 不要 2人以上同行
家庭裁判所の検認 必要 不要 不要
紛失・改ざん・偽造・隠ぺいなどのリスク あり なし なし
遺言の変更 簡単
複数の遺言書
管理不備の恐れ
容易
内容を更新して保管
手間
再び証人の依頼や書き換え手数料が発生
死亡時の通知 なし あり
指定者に保管通知あり
なし
遺言が無効になる可能性 あり
形式が不備で無効になることもある
一部あり
形式の不備は保管時に指摘されるが内容は確認されない
なし
公証人が作成するので無効になることはほぼない

公正証書遺言は、証人を2名立て、公証人が遺言者の意思を聞き取った上で、証人立ち会いのもと遺言書を作成する方法で、遺言書の原本は公証役場で保管されます。公正証書遺言は専門家が作成するので、自筆証書遺言に比べると形式不備や偽造等のリスクが低く、より確実性が高い遺言と言えます。また、病気などで文字が書けない状態でも遺言書を残すことができます。

一方、自筆証書遺言はその名のとおり、遺言者本人が自筆・押印して作成します。用紙や筆記具に指定はなく、遺言書としての形式を守っていれば有効です。費用もかからず、自分で作成・保管できる気軽さが大きな特徴です。

その反面、形式や言葉遣い、文言の訂正方法を間違えていたり、解釈が分かれかねない曖昧な表現を使っていたりすると、せっかく書いた遺言が無効になってしまうケースもあります。また、自筆証書遺言を自宅で保管していると、紛失や改ざん、死亡時に発見されない、場合によっては相続人が遺言書を隠してしまうなどの恐れがあります。そうした問題を解消するため、2020年7月から全国の法務局で自筆証書遺言を保管してもらえる制度が設けられました。

Q.「自筆証書遺言の保管制度」を利用するメリットはどんなことでしょうか。

A. この制度を使えば、遺言書の紛失や改ざんを防げるほか、保管申請の段階で遺言書の形式チェックも受けられます。また、希望しておけば、遺言者が死亡した際、あらかじめ指定した人に遺言書の存在を通知してもらえるしくみがあり、遺言書が未発見で終わる心配がありません。法務省の発表によると、制度ができた当時は2,600件ほどだった保管申請件数が、2023年5月には54,000件超と20倍以上になり、どんどん利用者が増えているようです。

ただし、法務局で遺言書の形式はチェックしてもらえても、内容のチェックまでは行っていないため、内容があいまいで、その解釈をめぐって争いごとが起きてしまうケースは少なくありません。これは公正証書遺言にも言えることですが、財産が多数に及んだり、共有財産があって権利関係が複雑な場合などは、相続にくわしい弁護士・司法書士や信託銀行などに相談することをおすすめします。

遺言の内容をどうするかは、財産の状態や家族・親族関係などによって大きく異なります。便利な制度や専門家の助けを借りながら、未来のために財産を役立てたいという想いを確実に叶えられる遺言書を作成してほしいと思います。

自筆証書遺言保管制度の手続きの流れ

「自筆証書遺言書保管制度のご案内」(法務省民事局)より

NACS-Jの自然保護活動のすべてが、多くの方からのご寄付に支えられています。法務・税務・終活等の専門家と連携し、丁寧かつ慎重にご相談を重ね、遺贈・遺産寄付を最適な形で実現するためのサポートを行っています。
ご相談やお問合せは、どうぞお気軽に以下のEメールまたはTELまで。ご案内資料の送付を希望される場合は、ご住所とお名前をお知らせください。

公益財団法人日本自然保護協会(NACS-J) 遺贈・遺産寄付担当(芝小路、鶴田)
E-mail memory@nacsj.or.jp/TEL 03-3553-4101(代表受付、平日10:00~17:00)

遺贈・遺産寄付についてくわしくは・・・

【回答者プロフィール】

遺贈寄附推進機構(株)代表取締役一般社団法人全国レガシーギフト協会理事 齋藤 弘道(さいとう ひろみち)
信託銀行勤務時代に1500件超の相続相談や10,000件以上の遺言受託審査に対応。2014年に弁護士・税理士らとともに、遺贈寄付希望者の意思が実現されない課題を解決するための勉強会を立ち上げた(現:全国レガシーギフト協会)。2018年に遺贈寄附推進機構株式会社を設立。多ジャンルのNGOに、遺贈寄付推進の助言指導を行っている。

コラム「遺贈寄付を知ろう」 連載目次ページ 

https://www.nacsj.or.jp/news/2023/10/37315/

あなたの想いを日本の自然のために遺す、遺贈・遺産・生前のご寄付のご案内

https://www.nacsj.or.jp/support/bequest/

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