2023.02.28(2023.03.01 更新)
【配布資料】今日から始める自然観察「日本で子育てするツバメの暮らし」
観察ノウハウ
専門度:
テーマ:自然観察ツール里山の保全環境教育
フィールド:海岸住宅地農耕地山
<会報『自然保護』No.592より転載>
このページは、筆者の方に教育用のコピー配布をご了解いただいております(商用利用不可・抜粋利用不可)。ダウンロードして、自然観察などでご活用ください。
春になると東南アジアから繁殖のために渡ってくるツバメたち。近年は街中でカラス類に襲われる巣が増えたため、目立ちにくい建物の奥まったところに巣を作る傾向が増えてきています。
子育ての邪魔をしないよう、巣に近付きすぎないようにして、そっと彼らの暮らしを見守りましょう。特に、親がチュピーッと鳴いたら警戒している合図です。
北村 亘(東京都市大学環境学部 准教授。専門は行動生態学・保全生物学・鳥類学。)
ツバメは4月から8月ごろまで日本全国で繁殖をする夏鳥です。3月ごろに日本の南の地域で見られはじめ、暖かくなるとともに徐々に北上します。
民家の軒先などの建物の壁に泥を貼り付けて作るお椀型の巣はよく見かけることでしょう。巣は作り始めから一週間くらいで完成しますが、最後に巣材として鳥の羽根を入れるので、羽根をくわえた親がいたら、その巣では数日内に卵を産み始めます。また、その後も地面に落ちた卵の殻を見つけられることがあり、孵化した日が分かるようになります。
一度に産む卵は5~6個で、早ければ4月には産卵をはじめ、3週間ほどでひなが孵ります。その後、さらに3週間ほどかけて巣立つ大きさになります。ひなが孵ると親は数分に1回ほどのペースで熱心に餌を運んできます。餌は小さな昆虫などで、飛びながら口で捕まえてひなのもとに運びます。
ソングスポット♪
ツバメのオスは、巣のそばにソングスポットと呼ばれる縄張りを守るためにさえずりながらとまる場所を持つことがよくある。春先にオスが電線などでチュルリチュルリ、ジャーとさえずっていたら、しばらく遠くから眺めてみよう。すると建物の陰や駐車場の中などに入っていく姿を見ることができるので、付いていくと巣を発見できる。ソングスポットから巣までの距離は50mもないことが多い。
ツバメが浮気!?
ツバメはつがいで子育てをする一夫一妻の鳥ですが、実は3割くらいの巣で浮気していることがDNAを使った調査から分かってきました。ツバメはメスがオスを選びます。ヨーロッパでは、尾が長いオスほどモテるという研究結果がありますが、日本では、のどの赤い部分が大きかったり、鮮やかだったりするオスがモテるようです。
巣立った後のひなはしばらく、親と一緒に移動しながら、巣の外で餌をもらう暮らしを続けます。ある程度育つと親は2回目の繁殖に取り掛かることがあります。
若鳥たちは彼らだけで群れ、ヨシ原などをねぐらにすることが増えてきます。8月になると繁殖を終えた親も合流して大きな集団ねぐらをつくります。9月ごろには南の国で越冬をするために日本を飛び去っていきます。
ツバメの一年
2回繁殖をするツバメは、1回目の繁殖の際は古巣を修復して使うことが多い。抱卵期間と育雛期間はそれぞれ約3週間で小鳥の中では長い。
ツバメの暮らしには、巣作りのための泥や枯れ草、餌となる虫が必要。
巣立った若鳥が親から餌をもらう様子。若鳥は親と比べてのどと額の赤色が淡く、くちばしの周りは黄色。尾羽が短い。
日本で観察できるツバメの仲間は5種 スズメ目ツバメ科の鳥たちです。
※ツバメと名が付いているが、ツバメの仲間ではない鳥もいる。例えば、ヒメアマツバメは、アマツバメ目という全く違う仲間の鳥。ゾウとキリンくらい違う。
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