2022.12.14(2023.09.20 更新)
四国ツキノワグマ保護プロジェクト公開シンポジウムを開催しました!
イベント報告
専門度:
テーマ:絶滅危惧種里山の保全生息環境保全森林保全
フィールド:森林
広報会員連携チームの渡辺です。
12月10日、四国ツキノワグマ保護プロジェクト公開シンポジウム「保全と地域の暮らしの両立を目指して」を開催しました。
このシンポジウムは、四国ツキノワグマ(以下、クマ)の生息地である徳島県那賀郡那珂町木頭地区で、地域の人にクマと保護プロジェクトについて理解を広める「木頭クマ祭り2022 ~四国にはのこり20頭! 絶滅にあるツキノワグマを知ろう!」のメインプログラムとして開催したものです。
シンポジウムでは、本プロジェクトで連携している四国自然史科学研究センター、日本クマネットワーク、環境省、林野庁、地元の木頭杉を使った商品の製造販売を行う㈱Wood Headがそれぞれの活動報告をするとともに、基調講演にアウトドアメーカー・モンベルの創業者であり、日本自然保護協会・参与の辰野勇氏を迎えました。
シンポジウムのアーカイブ動画も公開中!
基調講演の辰野さんからは、ヒグマに出合った国後島やカムチャツカ半島での冒険の話から、モンベルの四国との関りやモンベルが掲げている7つのミッションについてお話いただきました。
活動報告・基調講演の後は、徳島県知事の飯泉嘉門氏から来賓あいさつとともに、徳島県のツキノワグマ保護政策について話がありました。
シンポジウム後半は、木頭の暮らしとクマの保全の両立を考えるパネルディスカッション。
徳島大学・人と地域共生センター講師の森田椋也さん、山の地域活動を支援する(一社)イコールラボの玄番隆行さんも交えて、四国ツキノワグマプロジェクトと地域の発展をどう連携していけるか話し合いました。
特に注目を集めたのが、辰野さんによる「地域住民、民間企業、国、地域行政が一緒に取り組めているこのプロジェクトはとても素晴らしい。ただ、まだこのプロジェクトが全国で知られていないので、もっと広く伝えるべき。ビジネスとしても成功しうる。例えば「クマと共生するハチミツ」など、クマが暮らす山の商品という強いブランドになる」との提案。
モンベルという一大ブランドを作り上げた辰野さんの、クマを守ることが地域経済にも有効なものという話は説得力があり、登壇者のみならず会場に来ていた地域関係者の方が、より一つになって地域を盛り上げていこうとなりました。
木頭クマ祭りの参加者は300名以上となり、用意した駐車場も満車、飲食店も軒並み売り切れで、嬉しい悲鳴の大盛況でした。地元からの参加者も多い一方で、四国4県からも多く参加され、遠くは東京からクマ祭りのために来て頂いた方もいました。
シンポジウムには104名が参加。Youtubeでのライブ配信も600回以上の視聴(12月13日時点)がありました。
シンポジウムに参加した地元の木頭の人は、
「なんかイベントがあると聞いたからちょっと来てみただけだったのだけど、ツキノワグマのことを知らなかったから来て話が聞けてよかった」
「こんな小さな町に、徳島県知事やモンベルの会長さんが来るなんて。すごいことをやってたんだね、びっくり。クマのことよく知らなかったけど、応援したい」などと話してくれました。
今、世界は、保護地域の拡大や生物多様性を回復軌道にのせていくことを目指しています。地域、行政、そして研究者が連携し、地域の絶滅危惧種を守ることで生物多様性保全を進め、地域づくりに生かす本プロジェクトは価値ある取り組みです。より一層、支援の輪を広げ、活動を続けていきたいと思います。
「木頭クマ祭り2022」では、プロジェクトの理解を広めるためクマの調査体験ブースや、パネル展示、動画視聴コーナーを設置。地元の食べ物やグッズ販売の出店もあり、小さな親子づれからお年寄りまで楽しみながらツキノワグマと本プロジェクトについて知っていただくことができた一日となりました。
NACS-Jでは、日本クマネットワーク、四国自然史科学研究センターと協力して「四国ツキノワグマ保護活動」を進めています。世界で最も小さい島に生息するツキノワグマを守り続けるために、皆さまからのご支援をよろしくお願い致します。
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