2022.10.31(2022.11.01 更新)
みどり法・生物多様性保全活動が財政支援対象に
解説
専門度:
図1.みどり戦略が目指す有機農業取組面積の目標
(出典:みどりの食料システム戦略 p72)
フィールド:生物多様性保全農地法規制
みどりの食料システム法(以下、みどり法)は、生物多様性の低下など、農業による環境負荷を低減することを目的とし、有機農業の実施面積を2050年までに25%に増やすといった意欲的な戦略目標を実現する法律です。みどり法は、重要な法律である一方で、本法の条文には、生物多様性保全活動が財政支援の対象から外されるなどの問題がありました。
この問題に対してNACSJは提言書※1を出すとともに、議員へのロビー活動を行いました。その結果、今年4月の国会にて複数の議員からみどり法の問題点について指摘があり、「生物多様性の低下に対処する事業を省令でしっかり検討していく」と農水省審議官と農水大臣の答弁を得ました※2。答弁に関連し、5月、8月にはパブリックコメントが実施され、NACS-Jは提言を出しました※3※4。
支援対象活動はすべて生物多様性保全に配慮必要
8月に、生物多様性保全活動が税制優遇などの支援対象として追加されるとともに、地球温暖化対策などの財政支援対象となるすべての活動に対して生物多様性保全に配慮すること(例:温暖化対策のための田んぼの中干が、水生生物へ悪影響を及ぼすことのないよう配慮するなど)が基本方針に明記されました。
みどり法に基づき、今後作成される都道府県の基本計画の中に生物多様性保全活動が位置付けられ、生物多様性保全に取り組む現場の農家の皆さん、その流通を支える皆さんを支援する枠組みができるよう注視するとともに、NACS-Jが果たす役割も考えていきます。
※1:みどりの食料システム戦略に関する法律制定に向けた提言
https://what-we-do.nacsj.or.jp/2022/02/17832/
※2:みどりの食料システム法の課題について
https://www.nacsj.or.jp/2022/05/30313/
※3,4:みどりの食料システム法に関する提言
https://what-we-do.nacsj.or.jp/2022/05/18181/
https://what-we-do.nacsj.or.jp/2022/08/18514/
担当者から一言
リポーター
生物多様性保全部 藤田 卓
農業は生物多様性が健全に維持されることにより成り立っています。このような持続的な農業を波及する仕掛けを作っていきたいと思います。