2022.10.11(2023.09.20 更新)
【ご支援のお願い】日本に残る貴重な海を残し、荒廃する海を回復させるための調査に、ご支援をお願いします
ご寄付
専門度:
▲左:奄美大島の美しいサンゴ礁、右:サンゴが死滅した場所
テーマ:海の保全生息環境創出自然資源モニタリング自然環境調査伝統文化
フィールド:海
NACS-Jでは、海域の自然を守るために、陸域から与えられるネガティブインパクトを減らし、地下水の供給などを通したポジティブな影響を復活させるため、陸域と海域との一体的な管理の実現を目指して活動しています。
2021年7月に世界自然遺産として正式登録された奄美大島の海は、世界のサンゴ礁の北限域にあたり、固有種・希少種が生息する生物多様性が豊かな海です。いま、奄美大島の自然は、海も陸も、気候変動やアンダーユース、過剰な資源利用などで変化にさらされています。しかし、地域の合意形成や保護活動に必要な海の環境と生物に関する知見はほとんどありません。
昨年度から実施している奄美大島の海を調べるプロジェクトでは、陸と海との連環を調べ、一体的な管理を進めるため、笠利湾、大島海峡、焼内湾で、現在の海の状態を調べる調査と、過去の海の姿を調べる聞き取り調査を行いました。
多くの地域の方のご協力のもと、27箇所の地点と10箇所の集落で調査を行い、シマごとに異なる海の環境、生物の多様性、人と自然との共生の知恵について明らかにすることができました。同時に、この海に迫る気候変動の影響や、陸地の利用方法が原因と考えられるストレスの存在もわかってきました。
奄美大島の地形は複雑で、人と海との関係も多様です。海を荒廃させる原因は、場所によって、対象によって、水深によっても異なります。私たちの調査が明らかにできたのは、複雑で広大な奄美大島の海の、まだまだほんの一部にすぎません。必要な調査データは圧倒的に不足しています(英語で発表された論文数は、沖縄本島と周辺諸島の約10分の1)。
おじいさん、おばあさんたちが子供のころ、木に登れば魚の大群が見え、岩場には海藻が黒々と生え、サンゴ礁と藻場、色とりどりの砂浜が集落(シマ)の前に広がっていました。地形の違い、海との関わり方の違い、それによって育まれる文化や意識の違い。シマごとに異なる、多種多様な自然と、人と海との関わり方。それが、環境文化の島 奄美大島の魅力です。
しかし、昨今では、いたはずの生き物がいなくなるのは、珍しいことではなくなりました。原因がわからなければ、豊かさを取り戻す手段もわかりません。
今ある貴重な海を残し、荒廃する海を回復させるための調査に、お力をお貸しください。
2022年度の活動
1)奄美大島の海を調べるプロジェクト
2021年度は、みなさまのご寄付やサポートをいただき、以下のことを明らかにすることができました。
- 過去100年間のシマの海の変遷
- これまであまり注目されてこなかった豊かな自然が残る海域の存在
- シマごとに異なる海の環境、生物の多様性、人と自然との共生の知恵
- 気候変動の影響や陸地の利用方法が原因と考えられるストレスの存在
また、プロジェクトに関わってくださっている多くの地域の方々との新しいつながりも、私たちの大きな財産となりました(みなさま、本当にありがとうございます!!)。
プロジェクトの活動成果は、以下の記事とチラシをご参照ください。
ホームページ記事
サンゴ礁に降り積もる浮泥と海底地下水湧出の役割 ~奄美大島の海を調べるプロジェクト~
チラシ
【笠利湾をのぞく】
【焼内湾をのぞく】
- 今の海の様子を知り、対策を立てるための生物多様性調査
- かつての海の様子を伝えていくための聞き取り調査
- 海洋生物の産卵・生育の場となる藻場の調査
- 地域の方に海を伝える「場」と「ひと」づくり
海の自然も、人と海との関係もそれぞれに個性的なシマの海では、豊かな海が保たれている理由や荒廃する原因もそれぞれです。私たちのプロジェクトでは、地域の方々が大切にしたい海の姿を、科学的な調査と当事者の方々からの聞き取り調査によって明らかにします。それを100年後の子供たちに伝えていくための手段を、シマの個性に合わせて考え、伝統の知恵や知見も活かして、地域の方々とともに、ひとつひとつ実現させていきます。
2)サンゴ礁の保全プロジェクト
調査と次世代への継承の取組以外に、NACS-Jでは、奄美大島南部の瀬戸内町でサンゴ礁を保全するプロジェクトを行っています。
プロジェクトの活動成果は、以下の記事をご参照ください。
ホームページ記事
サンゴ礁の海、沖縄&奄美の自然を守る活動へのご支援をよろしくお願いします!
2022年度〜2023年度は、漁業とマリンレジャーの関係者、地域住民が連携した、サンゴ養殖、リーフチェック、砂浜生物調査や環境DNA調査などの市民参加型調査を実施し、「サンゴの守り手」の拡大を進めます。
ご寄付のお願い
海域の調査は、陸域の調査と比べてさまざまな困難があります。
- フィールドにアクセスできる人材が限られる(ダイビングなどの技術が必要)
- 人間の生息環境ではないため、滞在できる時間が短い
- 陸上とは物理的環境が異なるため、陸上で得た知見が通用しないことが多い
- 生物の生息環境は動的で複雑だが、科学的な知見の蓄積は極めて少ない
以上のような理由で、陸上の同様の調査と比べて3、4倍以上のコストがかかります。奄美大島での調査は、まだ始まったばかりです。今ある貴重な海を残し、荒廃する海を回復させるための調査に、お力をお貸しください。
ご寄付いただいたみなさまに
プロジェクトへのご支援(5,000円以上)のお礼に、ご寄付に応じたお礼品をお届けします。(お礼品の対応は2023年3月末日までです。)
※お礼品は、手作りのため、送付に少々お時間をいただく場合がございます。どうぞご了承くださいませ。
●アロマ虫よけスプレー(100ml)
天然由来成分100%。シトラス系のアロマの香りで蚊などの虫からお肌を守ります。ハーブのやさしい香りなので、元気になりたいときのアロマスプレーとしても使えます。
※香り成分:ユーカリ、シトロネラ、ペパーミント、ゼラニウム、レモングラス
●ケンムンマグカップ(日本製)
ガジュマルの樹に暮らしているという妖怪・ケンムン。相撲が好きで、集落に出てきてはいたずらをします。奄美のひとびとは、自然を使いすぎてケンムンを怒らせないように気を付けながら、自然とケンムンとともに生きてきました。ケンムンが暮らす宇検村の楽しいマグカップです。
カラー:ブルー、レッド、イエロー(3色からお選びください)
●手づくり エラブチ(ブダイ)の刺繍ブローチ
宇検村・焼内湾の入り口には、今も豊かなサンゴ礁が広がっています。奄美大島でエラブチと呼ばれるブダイの仲間は、サンゴ礁域でよく見られるカラフルな魚です。サンゴや岩に付着する藻類、死んだサンゴのポリプなどをかじることで、小さなサンゴの成長を助けたり、白い砂浜を作ったりしています。エラブチのブローチは、宇検村の海で見られるブダイをカラフルな刺繍で表現しました。少し丸みを帯びた独特のフォルムと、南の魚らしい色合いです。
※手作りの品なので、カラーや柄は、ひとつひとつ異なります。世界にひとつしかない作品をお楽しみくださいませ。
担当者からひとこと
今回のお礼品は、奄美大島南部・宇検村からのお届けです!奄美大島最高峰の湯湾岳(694m)をはじめとする山々に囲まれた宇検村の焼内湾は、内湾からサンゴ礁まで、環境と生物の多様性豊かな海です。入り江にたたずむ集落の中には、伝統的な文化や風習が残されています。地域の自然と文化をこよなく愛する宇検村のかたがたによって企画・製作された品で、宇検の海と山の空気を感じていただけますと幸いです。
(生物多様性保全部 中野恵)