2022.09.07(2022.09.08 更新)
生物多様性世界目標の最新動向
解説
専門度:
▲生物多様性条約ムレマ事務局長との意見交換
テーマ:国際人材育成生物多様性条約
フィールド:国際条約
2010年、COP10で決まった愛知目標は、成果を出したものの「目標未達成」という評価となりました。この次の目標を話し合う「生物多様性条約第4回ポスト2020枠組み作業部会」が、今年6月21日から26日にかけて、ケニアのナイロビ市にある国連環境計画本部にて開催されました。
ポスト2020生物多様性世界枠組み(略称、GBF)という名前で交渉の続く世界目標の最新動向把握、GBFと連動した企業による生物多様性関連情報開示制度への提言、ユース育成などを目的に、私も参加しました。※
※会議の様子は、下記ウェブサイトで見られます。
http://bd20.jp/category/conference/4th-oewg/
次の生物多様性締約国会議(COP15)は12月カナダ
延期が続いたCOP15を確実に開催できるようホスト国をカナダへと変更し、今年12月に開催することが、会議冒頭に発表されました。交渉の期限が定まったことで、一部進展はあったものの、会議の成果としては、合意にはまだほど遠い内容です。
ただ、交渉の様子を現場で肌で感じる限り、特集でも紹介した、ネイチャーポジティブ、30by30や、自然に根差した解決策(Nature-based Solutions)などのキーワードは世界目標として組み込まれる公算は高いと見ています。
残る課題は、気候変動、持続可能な農林水産業、経済活動といった自然環境セクターではないテーマでの目標設定、人権やジェンダーなど社会関連の目標設定、そして意欲的な目標を支える資金を生み出せるかです。
コロナ禍によるCOP15の延期で、GBFの交渉期間が長くなり、その間に世界は、「生物多様性」が社会経済のあらゆる課題で重要な位置を占めるという認識に変わりつつあります。そのような中で、2030年までの具体的目標設定を行うという難しい交渉が12月まで続きます。
引き続き、動向把握と日本への共有に努めていきます。
▲国際経験の継承としてユースも会議に派遣し、能力開発も行いました。
担当者から一言
リポーター
保護・教育部 道家哲平
2年半ぶりの海外出張。オンライン会議を参加し続けたので、英語の勘は鈍っておらずほっとしました。
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