2022.08.08(2022.08.08 更新)
地域の皆さんとつくる「千葉市をモデル地域とした保全重要地域抽出ワークショップ」インターン生レポート
イベント報告
専門度:
テーマ:生物多様性地域戦略人材育成
フィールド:OECM
こんにちは、OECM担当の高川です。
日本自然保護協会(NACS-J)ではOECMを各地域に広げていくことを目指し、まずは生物多様性地域戦略の策定が進む千葉市などをモデル地域にしてプロジェクトを進めています。
7月26日に、NACS-J主催の「千葉市をモデル地域とした保全重要地域抽出ワークショップ」を開催しました。今回のワークショップは市内の保全重要地域を特定し、今後OECMとして保全を進めていくことを行政計画に反映させていくことを目指しています。
今回、ワークショップにスタッフとして参加したインターン生の黒島さんより、報告レポートいただきましたのでご紹介します。
皆さん、こんにちは。日本自然保護協会(NACS-J)でインターンをさせていただいている黒島綜一郎(東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻)と申します。
先日7月26日にNACS-Jが主催で開催した「千葉市をモデル地域とした保全重要地域抽出ワークショップ」に参加させていただきました。千葉市で自然保護の活動をされている方々や研究機関の先生方に多数お越しいただきました。
ご参加くださったみなさま、誠にありがとうございます!
▲インターン生の黒島綜一郎さん
私が関わっているのは、NACS-Jが今年度から開始したOECMについてのプロジェクトです。OECM(Other Effective area based Conservation Measure)とは、「保護区ではないが、生物多様性が結果的に保全されている地域」を指し、「30 by 30 (陸と海のそれぞれ30%の保護地域化)」の達成に向けて、日本で関心が高まっています。
私の大学での専攻は都市計画で、中でも緑地計画を扱っております。「都市と自然の共生」をキーワードに、様々な形で存在する自然の価値を都市へいかに還元するかを摸索したいと思い、6月からこのプロジェクトの一員として活動しています。
今回のワークショップでは、千葉市内で潜在的にOECMとなっている場所の抽出を、知識や経験が豊富な参加者のみなさまと実施しました。本ワークショップの準備はこの6月からNACS-J職員の方と手探りで進めてきました。
当日は、千葉市の土地利用を描いた大きな図面を広げ、ペンを握りながら「どれくらいのサイトを特定できるものか…」と不安を抱いていましたが、参加者のみなさまから口々に候補地が上がり、なんと50か所以上にも上る候補地を参加者のみなさまと地図上に描くことができました。
「加曽利貝塚」「泉自然公園」「下大和田の谷津田」といった共通の地名が多く上がりました。私としては、千葉市の自然に精通した方々が共通して大切に思う保全上重要な地域を把握できたことがうれしく、その過程で、生息する動植物やユニークな維持管理手法などの情報も多数お寄せいただき大変勉強になりました。参加者のみなさまには頭が上がりません…!!
今回のワークショップは想像を上回る大盛況となったのではないかと思います!!
OECMは、現在環境省で新たな制度の設計が進んでいるものの、登録へのメリットや支援制度がないことが課題となっています。現在NACS-Jでは、OECMへの登録をいかに意義あるものとして形にし、行政計画に組み込み普及させていくか検討を重ねています。担い手が不足し、開発にさらされる都市近郊の自然は、身近にあるからこそ、私たちの手の届く場所で多様な自然の恩恵を受けることができ、保全する必要があるのではないでしょうか。
今回のワークショップが、「都市と自然の共生」が実現できる手段としてOECMを日本中に広げていくための一歩になれば幸いです。
▲琉球大学 久保田康裕先生