2022.06.29(2022.07.01 更新)
各地で減少する海藻類、奄美大島で調査
調査報告
専門度:
▲岩場に群生するハナフノリ。ゴカイ類、貝類、甲殻類などと共存している。かつては大島紬のノリとして全島で採取されていた。
テーマ:自然環境調査伝統文化海の保全
フィールド:海
奄美大島海域の今と昔を調べる調査。3月28日~4月1日には、奄美市笠利町と宇検村の海で海藻類の調査を行いました。奄美大島の文化と海藻類とは切っても切り離せない関係です。食料、畑の肥料のほか、島の伝統工芸・大島紬のノリとして用いられていました。
海草・海藻藻場の減少は全国的に深刻な状況です。奄美大島でも1970年代をピークに減少し、近年劇的に減っているとの証言が寄せられています。
今回私たちは、聞き取り調査で多くの方から名前が挙がったオゴノリ(シルナ)、フノリ、キリンサイ(イギス)の仲間に着目し、かつて繁茂していたとされる海域で調査を行いました。その結果、宇検村周辺では、比較的良好な生育が見られました。
波あたりや海流などの環境要因とともに、自然の営みに合わせた人々の生活様式(集落の構造や海域利用の暗黙のルール)が、海藻類とそこに生息するウニや貝類などの生物多様性の保全に貢献している可能性が考えられます。
歴史・文化も含めた海の豊かさを継承していくために、海と陸との連続性に着目した活動を進めていきます。
担当者から一言
リポーター
生物多様性保全部 中野 恵
宇検は祖母の故郷。こんなに豊かな海で遊んでいたのかと想像すると、生命溢れる海に感動もひとしおでした。