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2022.06.17(2022.08.12 更新)

【アンケート調査ご協力のお願い】 新たな保全地域「OECM」の潜在候補地の情報をお寄せください

募集

専門度:専門度4

テーマ:生息環境保全海の保全川の保全里山の保全

アンケートの趣旨

生物多様性の新たな保全地域であるOECM(Other Effective area-based Conservation Measures)」に、国際的な注目が集まっています。日本国内でもその制度設計が進む中、日本自然保護協会(NACS-J)も会員の皆さまや地域の自然保護に関わる皆さまとのネットワークを活かして、この新たな保全地域を広めていくためのプロジェクトを開始しました。

今回NACS-Jでは、全国の潜在的なOECMの候補地についてのアンケート調査を実施します。
ぜひ下記解説もご一読いただき、皆さんの身近にある、自然が「意図して保全されている場所」や「結果的に残されている場所」の情報をお寄せください。

OECMの潜在候補地のアンケートフォームはこちら

一次締め切り:2022年8月17日10月17日

「潜在的なOECM候補地」の該当例

  • 在来種からなる生態系が残されている場所であれば、どういった場所でも構いません。
  • 面積の大小は問いません。
  • 例えば以下のような場所が考えられます:
    管理放棄されていない林、自然に配慮している農地、雑木林や草原が残された都市公園や動植物園・青少年施設、古墳・貝塚・古城、改変前の森林・草地が残るゴルフ場・スキー場・キャンプ場、農業用池、洪水調整池、市民の森・市民緑地、企業や大学の構内緑地、学校林、など。

回答にあたっての注意

  • 潜在候補地1カ所ごとに1回ずつ回答をお願いします。面積や希少種の有無などに問わず、どんな場所でも回答可能です。
  • 組織を代表しない個人としての回答も可能です。
  • お寄せいただいた「全国の潜在的なOECM候補地」のリストの一部を、今秋にウェブサイトで公開予定です。公開可否もお伝えください。
  • NACS-Jが2019年に実施した「潜在的な保護地域としての公有緑地アンケート」にご回答の方も、候補地リストとして情報公開にご協力いただける場合は再度本アンケートにご協力いただけますと幸いです。
  • 環境省「自然共生サイト」への登録要件をどの程度満たしているかの簡便チェックもできますが、現在検討中の制度であることにご留意ください。詳細は文末を参照ください。

里山の危機と、新たな保全地域OECMへの期待

NACS-Jと環境省は、2006年から全国の市民や民間団体と共に、200カ所以上の里山で自然環境の調査を行ってきました。その結果、カエルやホタルなど多くの身近な生き物が姿を消している危機的状況が明らかとなりました。

(参考)モニタリングサイト1000里地調査とりまとめレポート

里山の保全が急務である一方、里山や都市緑地などにおける生物多様性の保全には、開発行為を法的に制限する保護区を設置しにくい、開発を抑止するだけでなく人による適切な管理を継続していくことが必要、といった課題がありました。

OECMは、こうした課題を抱える「身近な自然環境」を保全するための新たな仕組みとして注目されています。これは、国立公園など国が設置する保護区ではないものの、「他の効果的な手段により生物多様性が保全されている地域」を意味し、市民や企業が保全活動を行ってきた場所や、農地・社寺林など結果的に自然が保全されている場所などが含まれます。

COP10以前と以後のOECMで保全される地域を比較した図OECMの概念図

2010年以降に開催された生物多様性COP10以降、「自然を守る場所か、それ以外」という見方から、農業や林業など生産活動の場所も「自然保護に貢献する可能性を持つ」という見方が広まった

OECMの詳細については、文末の補足説明および、NACS-Jの解説記事国立環境研究所のページをご覧ください。

日本でも、環境省によりOECMを「自然共生サイト」として登録認定する制度の準備が進められています。
しかし、「保全上重要な場所の登録をどう促すか」「保全管理の効果をどう高め、費用を補っていくか」などの計画が今のところ十分でないことが課題となっています。

NACS-Jの新プロジェクトの概要

そこでNACS-Jでは、2022年度より、これらの課題を解決し、新たな形の保全地域を全国に広め、各地域での生態系回復を実現していくためのプロジェクトを開始しました。まずはいくつかの自治体をモデル地域として、どのようにすれば保全上大切な場所を特定し、OECMに登録し、地域社会も自然もポジティブにできるような取り組みを広められるかの実例づくりを様々な主体と共に行っていきます。また、保全・普及活動の核になれるような場所に対する活動支援を強化していく予定です。現在、支援策の柱として、企業等からの資金供給を増やすための枠組み作りも検討しているところです。

アンケート調査へのご協力のお願い

保全地域のネットワークを広げていくためには、NACS-Jの会員・法人会員の皆さまをはじめ、様々な民間の方々が活動を続けてこられた場所をつないでいくことが重要です。これまでNACS-Jでは、国際自然保護連合日本委員会(IUCN-J)の各メンバーと共に「民間保護地域」に関する定義や国内の事例についての研究を行ってきました(詳細はこちら)。

また、国立環境研究所と共に、全国の都市公園や動植物園・青少年施設といった公有緑地について「潜在的な保護地域」としての実態調査を行い、全国の施設の4割ほどが保護地域に該当しうることを明らかにしています。

(参考)潜在的な保護地域としての公有緑地の現状と可能性 ~全国の都市公園・青少年施設等へのアンケート調査結果から~

しかし、公有緑地ではない民有地や民間団体が活動する場所については、2000年以降の現状把握ができていません。そこで、潜在的なOECMが全国にどの程度あるのか、当会の会員の皆さまや地域の自然保護に関わられている皆さまがこれにどの程度関わっておられるのかを把握するためのアンケート調査を行うこととなりました。ぜひご協力いただき、情報をお寄せください。

OECMについて

この言葉は、2010年に名古屋で開催された生物多様性条約締約国会議(COP10)において、保護地域に関する国際目標を決議する際に誕生した言葉です。正式にはOther Effective area-based Conservation Measures(その他の効果的な地域をベースとする手段)の頭文字であり、国が認定している国立公園・鳥獣保護区などの保護地域ではないが、効果的な保全が行われている場という意味です。現在日本の保護地域は国土の陸域面積の20%、海の13%を占めています。2021年度のG7会合において2030年度までにこの面積割合を30%まで増加させることを日本政府が表明し、その目標達成の切り札としてもOECMに注目が集まっています。

環境省「自然共生サイト」について

日本でもOECMを認定していくための制度作りが現在進んでいます。「自然共生サイト」と呼称して登録認定し、2023年度までに100カ所の登録を目指すとされています。そのための制度作りや登録要件の整理が現在行われています。本アンケートでも登録要件の概要を知ることができますが、すべての要件を掲載しているわけではないこと、国の制度として現在検討途上にあることをご承知おきください。詳細は環境省ウェブサイトを参照ください。

本件についてのお問い合わせ先

公益財団法人 日本自然保護協会 OECM担当
高川 晋一(TAKAGAWA Shinichi)
TEL: 03-3553-4101 (代表)
メール:satoyama@nacsj.or.jp

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