2022.05.02(2022.07.22 更新)
御嶽山の国立・国定公園への昇格を要望
報告
専門度:
▲御嶽山における長野県・岐阜県の県立自然公園の現状の配置(この図は、環境アセスメントデータベースで作成し一部加筆しました)
テーマ:生息環境保全生物多様性条約絶滅危惧種国立公園
フィールド:国定公園国立公園
標高3000m以上で国立・国定公園でないのは御嶽山だけ
NACS-Jは、長野県と岐阜県にまたがる御嶽山(標高3067m)の保護地域の拡充と自然回復のために、県立自然公園の国立・国定公園への昇格を求める要望書を、飛騨高山ふるさとを歩こう会(会長:小野木三郎)、一般財団法人中村浩志国際鳥類研究所(代表理事:中村浩志)と連名で、環境大臣や両県の知事に2月4日に提出しました。
御嶽山は、自然植生の垂直分布の変化がみられる独立峰として学術的な価値が高く、絶滅危惧種ライチョウの重要な生息地でもあります。日本の標高3000m以上の山岳(23座)で、国立公園の特別保護地区になっていないのは御嶽山だけであり、これまで保護地域としての評価が十分されていませんでした。
また、1990年代には林野庁の「ヒューマン・グリーン・プラン」で大規模なスキー場開発が問題になり、NACS-Jでも地域の団体と共に取り組んできました。御嶽山のスキー場は、今は休止・廃業しているものがいくつもある状況です。
一方、国際的には、生物多様性条約締約国会議(COP15)で決定される次期世界目標として「30 by 30」(2030年までに陸域・海域の30%を保全・保護地域とすることを目指す目標)が検討されています。日本国内でも、30 by 30のもと、御嶽山の法律に基づいた国立・国定公園への昇格と拡充が進めば、この世界目標に大きく貢献することになります。
自然公園法の国立・国定公園に昇格することにより、今後、廃業したスキー場の植生回復や、安全な登山と火山の緊急時の対応・避難の施設整備を充実させることが期待されます。NACS-Jでは、地域で機運を高めるため、地元自治体と連携してシンポジウムを開催します。
シンポジウム「御嶽山の価値と未来~国立・国定公園に向けて~」
担当者から一言
リポーター
保護・教育部 大野正人
雪の覆われた御嶽山を眺めたときに、その神々しさに感動! 興味の尽きない山岳です。