2022.03.02(2022.03.02 更新)
沖縄と奄美でサンゴ礁の健康度を調査
調査報告
専門度:
▲沖縄本島浦添では、多種多様なサンゴ類が生息していることが確認できた。(写真:牧志 治)
テーマ:絶滅危惧種海の保全モニタリング自然環境調査
フィールド:海
2021年の秋はサンゴ礁の健康度を調査するリーフチェックの手法を用いての新しい調査地点を2カ所設けました。1つは沖縄島中部に位置する、米軍那覇港湾施設(那覇軍港)の移設で埋め立てられる可能性が高い浦添市西海岸です。11月1日に調査員6名でリーフチェックを実施しました。
生きたサンゴが海底を覆う面積の割合(被度)は65%に達し、「極めて健全なサンゴ礁が残っている」状態であることが分かりました。ミドリイシ類、ハマサンゴ類、キクメイシ類、ソフトコーラルなどのサンゴのほか、シャコガイ、何種類ものチョウチョウウオも確認されました。稚魚も多く見られ、次世代を育む『ゆりかご』として機能していることが分かりました。
「カーミージーの海で遊び隊」の浪岡光雄代表は「沖縄は自然を壊し過ぎている。海は壊さず大切にして」と訴えました。
もう1カ所は奄美大島の南部にある加計呂麻島の実久沖約300mに広がる礁斜面です。11月16日に瀬戸内町海を守る会と一緒に調査を実施し、2020年の講習で資格を得たリーフチェックチーム科学者6人が参加しました。
サンゴ被度は69.4%で、新しいサンゴ類の成長も見られ、「とても良い状態」でした。生きもの調査では、チョウチョウウオ70個体、イサキ科20個体、ハタ類1個体、シャコガイ77個体のほか、ネムリブカとロウニンアジも記録しました。2016、2017年の白化現象の痕跡が若干見られたものの、それを乗り越える形で新しくサンゴが成長しており、総じて良好な状態でした。
海を守る会の祝隆之会長は「サンゴの成長と生きものの多様性を感じることができ、改めてすごい場所だと実感した。定期的な調査を継続したい」と話しました。大島海峡の海の現状を科学的に把握するために調査地点を拡大していきます。
リーフチェックチームリーダー&チーム科学者養成講座の卒業生の皆さん。加計呂麻島にて調査。(写真:瀬戸内町海を守る会)
担当者から一言
リポーター
保護部 安部真理子
サンゴ礁の保全へのご支援ありがとうございます。これからもきれいな海を守っていきたいと思います。