2021.12.27(2021.12.27 更新)
介護福祉現場での自然観察会を広げています
自然観察指導員報告
専門度:
▲東京での観察会。生きもののすむ土の温度や柔らかさの違いを、五感を使って実感し、夢中になりました。
テーマ:環境教育人材育成自然観察ツール
フィールド:ネイチュア・フィーリング
メンタルケアやコミュニケーション力向上にも役立つ
NACS-Jでは、普段自然と接することのない人にも自然の価値を伝えるための自然観察指導員活動の推進に取り組んでいます。その一つとして、介護業界に関わる自然観察指導員の有志および、全国の認知症介護指導者を養成する施設である認知症介護研究・研修センター(以下、研究研修センター)と協力して、介護福祉の現場での自然観察会の普及に2019年から取り組んでいます。自然観察会は、介護施設利用者のケアや、多忙を極める介護職員のメンタルケアやコミュニケーション力の向上などにとても役に立つと好評で、自然観察指導員講習会を受講する関係者も近年増えています。
コロナの影響で昨年度は中断した本プロジェクトですが、今年度は東京・熊本・宮崎にて介護施設職員を対象とした自然観察会を実施しました。指導員講習会の講師や自然観察指導員熊本県連絡会の有志がスタッフを務め、ネイチュア・フィーリングを核にした五感を使った自然観察会を皆で楽しみました。
参加した職員からは「自然は、ただ景色を眺めるだけのものだと思っていた」「多様な感じ方があることや新しい価値を知ることができた」「普段から園芸療法に取り組んでいるが、鉢植えでない自然のものが持つ『広さ』を実感した」などの感想をいただけました。
▲宮崎県での介護職の方々との観察会の様子。熊本・宮崎の指導員連絡会もスタッフとして参加。
日本ホスピス・在宅ケア研究会全国大会に参加
2021年10月17日には、日本ホスピス・在宅ケア研究会の全国大会の中で、研究研修センターと共に自然観察会に関するフォーラムを開催。普段NACS-Jがなかなか接することのないさまざまな職種の方々に、自然観察会の介護現場での有効性を話しました。また、地域の自然を豊かに保つことや、かつて自然の中で毎日暮らしていた年配の施設利用者の方々から自然との関わり方を学ぶことが、介護福祉の現場をより豊かにすることにもつながると伝えました。
今年も引き続き介護業界との連携を深める予定です。現在研究研修センターと共に、自然観察会が介護職員のメンタルに及ぼす影響を科学的に明らかにするための研究を進めています。また各地の介護施設で自然観察会を広めていくための課題や工夫のさらなる整理や、手引きの作成なども進めていく予定です。
▲日本ホスピス・在宅ケア研究会全国大会(熊本)でのフォーラムの様子。
担当者から一言
リポーター
市民活動推進部 高川晋一
介護職の方々の感性や共感力・向上心の高さには驚かされます。観察会では講師側も大いに楽しみ癒されています。
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