2021.12.27(2021.12.27 更新)
大浦湾でサンゴ群集と移植サンゴについて調査
調査報告
専門度:
▲中の瀬ハマサンゴの丘調査ライン。サンゴの被度は57.5%で健全な状態であったが、シアノバクテリアが確認された。
テーマ:モニタリング絶滅危惧種海の保全
フィールド:海
ちゅら海を守り、活かす海人の会とNACS-Jの共催で、10月26日、27日、沖縄島の大浦湾の4カ所でリーフチェックを実施しました。これらの場所での調査は2015年から実施しており、世界同一の基準でサンゴ礁の健康度をはかる市民参加型のリーフチェックの手法を適用しています。
調査の結果、サンゴの被度についてはいずれの場所でも前年を上回る結果となりました。チリビシのミドリイシ群集は2016年、2017年と続いた高水温などによる白化現象の影響がまだ残るものの、残りの3カ所は健全な状態であると評価しています。また、チョウチョウウオやブダイ、ノコギリダイ、スズメダイ、テングカワハギ、タカラガイなど健康なサンゴ礁に生息する魚類なども記録されました。
沖の瀬アオサンゴ群集では、昨年2月に続き、サンゴを覆って死滅させるテルピオスというカイメンの存在が確認され、中の瀬ハマサンゴの丘では通常は見られない分量のシアノバクテリアが確認されました。水質が原因の可能性があり、すぐ近くで進む辺野古の新基地建設の埋め立て工事が周辺の環境の変化としては最も影響が大きいと示唆されます。
移植されたサンゴの一部が短期間に衰弱
一方で、埋め立て予定地から外へ国によるサンゴの移植が進んでいます。合計4万群体を超えるサンゴの移植が予定されていますが、今回はその一部である辺野古シュワブ南と大浦湾中瀬付近で調査をしました。前者はもともと砂地に海草藻場が広がる場所であり、サンゴの生育に適している場所ではありません。いずれの群体も移植後2カ月半以内*であると思われますが、この短期間に多くのサンゴが砂をかぶって弱っていたことが観測されました。引き続き、大浦湾のサンゴ群集や移植したサンゴの観測が必要です。
*移植が始まったのが8月上旬、調査は10月15日。移植日は不明なので、長くても移植後2カ月半で、それより短い可能性もある。
▲移植されたサンゴ(キクメイシの仲間)が砂をかぶって一部死んでいる。
担当者から一言
リポーター
保護部 安部真理子
防衛省の設計概要変更にやっと沖縄県による不承認という判断が出ました。サンゴ礁の調査や保全の働きかけを続けます。
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