2021.07.02(2021.07.05 更新)
オンライン交渉が進むポスト2020枠組み
報告
専門度:
▲今回の交渉の成果が反映されたポスト2020枠組みの最終準備交渉は8月に開催予定
テーマ:生物多様性条約国際
フィールド:国際条約
生物多様性のために2030年までに何をするのか
新型コロナ感染拡大で、「意見交換」で止まっていた生物多様性条約では、5月から6月にかけて、「オンラインでの交渉会合」を開催しました。条約事務局がカナダ東部に所在することから、日本時間では夜8時から、長いときは、日をまたぎ明け方4時まで交渉が続く日もありました。
さまざまな議題がありましたが、注目は、愛知目標に代わる「ポスト2020枠組み」に集まっていました。2050年に「人と自然の共生する社会」を構築するために、2030年までの生物多様性に関する政策について、地球・国家・地域の各レベルで方針を決める多岐にわたる課題が検討されました。
質・量ともに意味ある目標設定の在り方、進捗をはかる指標やモニタリング・報告の仕組み、世界枠組みを受けた国内実施の在り方や、国際協力の在り方、他の環境条約との連携、実施のための資金メカニズムやNGO、研究機関、企業、先住民地域共同体との関係構築などが交渉されました。意見は一定程度集約されたものの「意欲的な目標設定には、意欲的な実施メカニズムや、資金含めた国際協力が必須」として、引き続き交渉が重ねられる予定です。
日本の国家戦略に大きく関わる最終合意は10月
今後、生物多様性条約では10月に第15回締約国会議を中国雲南省昆明市で開き、最終合意を目指しています。ポスト2020枠組みは、日本の生物多様性国家戦略に大きな影響を与えます。IUCNの日本委員会事務局も務めるNACS-Jでは、IUCN加盟団体と共に、ポスト2020枠組みを活かした日本の生物多様性政策のこれからについて、世界の情報共有や政策提言の機会を作っていきます。
▲時に事務所で、時に自宅で交渉をフォローし、リポートを書いています。会議のリポートは、にじゅうまるプロジェクトのウェブサイトで公開しています。
担当者から一言
リポーター
広報会員連携部 道家哲平
国際会議も「自然保護の現場」の一つ。国際情報の収集と分析、発信を続けています。
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