2021.02.26(2021.03.03 更新)
【配布資料】今日から始める自然観察「もっと仲良くなろうイヌフグリの仲間たち」
読み物
テーマ:自然観察ツール
<会報『自然保護』No.580より転載>
このページは、筆者の方に教育用のコピー配布をご了解いただいております(商用利用不可)。ダウンロードして、自然観察などでご活用ください。
私たちの足元で、春の訪れをそっと教えてくれるオオイヌノフグリの花。青く可憐なその姿は、まるでこちらを見上げて微笑んでいるかのようです。そんな愛くるしい彼らと、今年はもっと仲良くなってみませんか?
(小林健人 八王子市長池公園副園長 自然観察指導員)
みんなの足元にある身近な花
オオイヌノフグリは、西アジアを原産とするオオバコ科の外来植物です。外来植物といってもその歴史は非常に古く、日本へ初めて渡来したのは明治14年ごろと言われています。この140年の間に、私たちの日常の景色の中にすっかり溶け込んできました。
オオイヌノフグリの花のつくりはシンプルです。左右対称で4つに裂けた花の中央には、1本の雌しべを挟んで2本の雄しべが向き合っています。蜜を求めてやってきたアブやハチは雄しべにしがみつき、その際に葯の花粉が体に付着して別の花へと運ばれます。
もし虫が来てくれなくても、花が閉じるのと同時に2本の雄しべがお辞儀をして自らの雌しべ(柱頭)に花粉を付着させる〝同花受粉〟を行います。同花受粉でも、高い発芽率の正常な種子がつくられることが分かっています。
なお、果実が裂けてこぼれ落ちた種子は、アリがせっせと運んだり、土と一緒に人間の靴底に付いたりして広範囲に散布されます。
ところで、オオイヌノフグリと同じクワガタソウ属には、よく似た種類がいくつかあり、道端の植え込みや畑の周りなど、身近な環境で見つけることができます。見分け方のポイントは花の大きさです。並んで咲いていればその差は一目瞭然ですが、単体で咲いている場合は、5円玉を花の上からそっと押し当ててみましょう。
5円玉の穴からはみ出すサイズならオオイヌノフグリ、穴にすっぽりと収まるサイズならそれ以外の種類です。上の形態比較表を参考にしながら見分けにトライしてみましょう。一つ一つの部位をじっくり観察することで、同じように見えていた種類も全く別人に見えてくるはすです。個性に富んだイヌノフグリ類の多様性をぜひ味わってみてください。
イヌノフグリの仲間の見分け方
花の大きいものから順に、左から右に並んでいます。5円玉の穴を使って大きさを確かめながら、観察してみましょう!
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