2021.02.26(2021.02.26 更新)
参議院調査会にて、海洋保全の総合力の欠如と強化を主張
報告
専門度:
テーマ:生物多様性条約国際海の保全
フィールド:海岸海砂浜
2月17日に開催された参議院「国際経済・外交に関する調査会」に、日本自然保護協会(NACS-J)広報会員連携部部長・国際担当の道家が参考人として招致され、生物多様性条約や海の議題、ポスト2020枠組みなどの最新動向について現状を解説するとともに、海洋の生物多様性保全のための政府の総合力の強化を提案しました。
参議院の調査会とは
参議院の調査会は、参議院に解散がなく、議員の任期が6年であることに着目し、長期的かつ総合的な調査を行う目的で設けられた参議院独自の機関です。調査会は、大局的な見地から国政の基本的事項に関して調査を行い、その成果として、議員立法、決議、政策提言を行うなど、参議院にふさわしい調査機関としての役割を果たしています。
・参議院ウェブサイトより(https://www.sangiin.go.jp/japanese/chousakai/about.html#C01)
国際経済・外交に関する調査会では、2020年(令和2年)より「海を通じて世界とともに生きる日本」というテーマをたて、3年間かけて、さまざまな視点から専門家を招聘し、日本としての長期の在り方を検討しています。
具体的には海洋資源エネルギー開発、海事産業(海運)、水産資源などの利用に関わる課題が検討されています。昨年、テレビでも活躍するさかなクンも参考人として呼ばれています。衆参議院ともに、帽子や外套、襟巻き着用が認められていないのですが、トレードマークのあのハコフグ帽子が特別に許可され、審議に参加したことで話題になった調査会です。
2月17日は、「海洋における生物の多様性の保全と生物資源の持続可能な利用に向けた課題と取組」というテーマが設定され、生物多様性条約やIUCNの日本のスペシャリストとして、参議院調査会より声がかかり、お話をさせていただきました。用意していた説明20分に加え、2時間の質疑応答に応えました。
▲調査会の中継はこちらから見られます(全3時間)
※クリックすると外部サイトに移動します。
大きな提案としては「海洋保護区30%へのリーダーシップ発揮」のための行政総合力の強化と、「陸と海の連続性を意識した総合政策の推進」とその事例として、NACS-Jが皆さんからの支援を受けて活動している、砂浜生態系保全の課題を話題にしました。
海洋に関する調査会において「海と陸を切り離して考えてはいけない」という主張は、参議院議員の皆さんにも、新鮮に、しかし、至極妥当な主張と受け止めていただいたようです。
質疑応答では、生物多様性条約COP10からの10年の評価と今後の課題や、海洋分野における日本政府による途上国支援の在り方、生物多様性損失の意味を分かりやすく伝える方法、ホープスポットに日本第1号として認定された辺野古海域の保全の世界的意味や防衛施設と自然保護の関係性、水産養殖業の今後の考え方など、多岐にわたる質問(なお質問は、本当にその場でいただくものです)でした。
今回の審議結果が、とかく経済開発によりがちな日本の海洋政策に、生物多様性の保全の視点を入れ、保全の視点がすっぽり落ちている砂浜のような陸と海の接点の自然保護にもつながるような動きになればと期待しています。
広報会員連携部部長 道家 哲平
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ご参考
「生物多様性サミット」生物多様性世界リーダーの発信に注目(2020年9月)
SDGsと生物多様性 2030年に向けた10年間に考えるべきこと(2019年12月)