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2020.10.30(2020.11.04 更新)

【配布資料】今日から始める自然観察「モフモフを通して命のバトンタッチを観よう」

読み物

専門度:専門度2

今日からはじめる自然観察ページの画像

テーマ:自然観察ツール

【今日から始める自然観察】モフモフを通して命のバトンタッチを観よう(PDF/1.4MB)
<会報『自然保護』No.578より転載>
このページは、筆者の方に教育用のコピー配布をご了解いただいております(商用利用不可)。ダウンロードして、自然観察などでご活用ください。

アブラムシの中には、白いモフモフのロウ物質を出すものがたくさんいます。

じっくり観察してみると、モフモフのまとい方もさまざま。やわらかそうなふわふわな綿毛が目立つ種をいくつか紹介します。

松本嘉幸(日本半翅類学会会員 公立中学校非常勤講師)


雪虫の暮らし

アブラムシには体に綿毛(モフモフ)を持った種類が見られます。

北海道ではトドノネオオワタムシが「初雪が近いことを教えてくれる虫」として有名で、「雪虫」と呼ばれています。この虫が飛ぶのは晩秋、穏やかな風のない夕方が選ばれるようです。

春から初夏はヤチダモの葉裏で生活した後、トドマツに移住し、夏~秋はトドマツの根でアリと共生します。晩秋には翅を持ったモフモフの「雪虫」の姿になってヤチダモに戻ります。多くの時期を胎生でメスの幼虫を産み、メスだけで暮らしますが、ヤチダモに戻るとそこで有性世代(オスと卵を産むメス)の幼虫を産みます。有性世代が交尾することで越冬卵が産み落とされます。春に孵化した第1世代を幹母と呼び、幹母がたくさんの幼虫を産んで、世代が継承されていきます。

 

いろんなモフモフ

モフモフを持つアブラムシはトドノネオオワタムシ以外にもたくさんいます。モフモフは体の表面を覆っている綿毛状のロウ物質ですから、哺乳類のような毛ではありません。アブラムシは同じ種でも、前述のような翅を持つ有翅型以外に、翅のない無翅型がいます。モフモフは、有翅型の幼虫では量や形(姿)が変化しますが、成虫になると局所的になります。また、無翅型では幼虫から成虫になるまで、モフモフの量や形が変化し、最終的に全身が綿毛で覆われるものがたくさんいます。モフモフを出すロウ腺は普通、腹部の背面にあります。

どんなモフモフを出しているのかじっくりと観察してみてください。モフモフがどんな役割をしているのかは不明ですが、私はこんな小さな虫が頑張って生きている姿に魅了されてしまいます。

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