2020.08.26(2020.09.17 更新)
【配布資料】今日から始める自然観察「指導員の道具編:秋の自然の恵みで「絵巻物」
<会報『自然保護』No.577より転載>
このページは、筆者の方に教育用のコピー配布をご了解いただいております(商用利用不可)。ダウンロードして、自然観察などでご活用ください。
秋のおさんぽは、とても楽しい!気候もちょうど良いし、何より自然が美しい!そんな秋に楽しめる、とっておきの自然観察会の方法を2つご紹介します。
橋詰純子(自然観察指導員 木育インストラクター)
今日だけの一点物を作ろう
足元には、たくさんの落ち葉。丸型、星型、ギザギザ、形もいろいろ、色もいろいろ。落ち葉に空いた穴、まるい穴、長細い穴。
木の実・草の実、赤・紫・白・茶色・水色、色もいろいろ、形もいろいろ。並べてみたら、きれいだろうな。せっかくだから額縁効果で、絵画のようにしてみたい! 長く一列にした紙の上に並べてみたら……絵巻物のような素敵な一枚の絵画ができました!
一列に並べることで、葉っぱや木の実の数や種類の多さを実感でき、その特徴にも注目するきっかけになります。そして何より、その日のそのメンバーによる一点物の絵巻物を作ることができます。毎年秋にはこの絵巻物を作成し、みんなで鑑賞しています。
「ぼく」を探そう!
私のお気に入りの絵本は『はっぱじゃないよ ぼくがいる』※です。葉っぱを見つめていると「顔」が見えてくる不思議な写真絵本です。
観察会の冒頭や、落ち葉がたくさん見つかる場所で、この本を読みます。はじめは子どもたちから「(葉の穴は)虫が開けたんやで!」という声が飛び交います。でも、淡々と絵本を読み進めます。
すると、知識優先で葉を見ていた子も、徐々に作者の意図する「ぼく」の存在に気付き、絵本の世界に引き込まれていきます。読み終わったら「さぁ、今からみんなでぼくを探しにいきましょう!」と、声をかけ、ぼく探しをスタートします。
自然観察会では、科学の目で観察することに偏りがち。もっと自由に想像力をかき立て、心を動かす活動を取り入れることにより、小さな子どもから大人まで観察の幅や奥行きが増すのではないでしょうか。また、発見を参加者で共有することで、多様な価値観を受け入れる貴重な機会となります。
※『はっぱじゃないよ ぼくがいる』文・写真:姉崎一馬(発行:アリス館)
葉っぱのつぶやき聞こえたかな?
いつもなら、何気ない葉っぱやそこに空いた穴、視点を変えて見ると……それぞれの違う表情に見えてきませんか? 小さなお子さんから大人まで集中できる、簡単で楽しい観察の方法です。
見つけた葉を小さな台紙の中央に両面テープで貼ってみんなで鑑賞。これも額縁効果ですてきな作品に。少々絵が苦手でも自然の造形を利用するので、作品作りのハードルが下がる。
絵巻物の使い方
① あらかじめ、それぞれが選んだものを最後にみんなで見せ合うことを話しておき、観察会をする中で、気に入ったものや秋らしいものなどを拾いながら歩いてもらう。この時、袋を使うと、集めすぎてしまうことがあるので手に持てるだけにしてもらう。
② 色のグラデーション順など、どんな順番にするかを話し合いながら、集めたものを協力して一列に並べる。風が強い日は両面テープの剥離紙を剥がして並べる。
③ 人数や自然のものの量によって紙の長さを調整する。
④ 並べ終わったら、観察会の振り返りをして、自然の恵みの「絵巻物」の完成!
⑤ 鑑賞が終わったら、拾ったものを自然の中へ戻そう。
絵巻物の作り方
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