2020.05.01(2023.07.21 更新)
2030ビジョン〜2030年に叶えていたいイメージ〜
解説自然観察指導員
専門度:
テーマ:環境教育人材育成
指導員のみなさんと共に2030年度末に叶えていたいイメージを、2030ビジョンとして3つにまとめました。
2019年に開催した自然観察指導員全国大会では、このビジョンに多くの指導員のみなさんから賛同を頂きました。ここではイメージ写真とともにご紹介します。
NACS-Jはこのビジョンの実現に向けて目標や計画を立て、活動していきます。
【自然観察指導員養成事業 2030ビジョン】
- 過去には自然観察会と結びついていなかったシーンでも自然のしくみや魅力に気づくことのできる機会が社会に溢れており、境遇や自然への関心の高さにかかわらず多様な人が、その機会に参加している。
- 自然観察指導員によって豊かな自然がまもられ、自然との関わりの少なかった人でも何度でも行きたくなる、自然の恵みを実感できる魅力的な場所がある。
- 自然観察指導員は、自然観察や自然保護活動、日常の仕事や生活を通して影響力がある存在で、社会的にかっこいい、信頼感がある、というイメージが世代によらず社会に定着している。
解説
1.過去には自然観察会と結びついていなかったシーンでも自然のしくみや魅力に気づくことのできる機会が社会に溢れており、境遇や自然への関心の高さにかかわらず多様な人が、その機会に参加している。
自然への関心が低い人や自然と関わりにくい境遇の人も、自然の魅力に気付いてくれれば自然保護はもっと進展するのではないでしょうか。しかし、そういう方々は現在自然観察会にはなかなか参加してくれていません。
そこで、例えば通勤やショッピング、ジムやネイルサロン、習い事や職場といった日常のシーンや、初詣やお葬式、デートや結婚式、コンサートや美術館などの行事の中にも自然の魅力に気づくチャンスがあれば、意図せずとも参加でき、より多様な人が自然を大切に思ってくれるのではないでしょうか。
今後、さらに価値観やライフスタイルが多様化する中で、2030年には、公園や緑地に限らずあらゆる場にそういった「自然の魅力に気付く入り口」が溢れているイメージを描いています。
2.自然観察指導員によって豊かな自然がまもられ、自然との関わりの少なかった人でも何度でも行きたくなる、自然の恵みを実感できる魅力的な場所がある。
ビジョン1のように「自然の魅力に気付く」だけでなく、一般の方がもう一歩深めて「自然保護につながる自然観を育む」ためには、一度ではなく繰り返して自然と接し、その中で本人が心地よさや自然の恵みを実感することが効果的ではないでしょうか。
そのためには、身近に自然が多い地域はもちろんのこと、都市部においても、気軽に行ける距離にある程度まとまった自然が保全され続けていることが欠かせません。そして、その場所に多様な人を魅了する工夫と、自然のしくみや恵みに気付ける機会があれば、地域の老若男女が何度も訪れ、自然観を育むことができるとイメージしています。
この企画は、その場所にある具体的な自然の恵みと、地域のニーズとを掛け合わせ、様々な協力者と連携しつつ魅力を創り出すことが鍵となるため、容易ではないかもしれません。しかし、地域の人と自然を思う指導員のみなさんとだからこそ、NACS-Jも取り組むことができ、一緒に挑戦できると考えています。
最終的には上記の要素を持ち、さらに人的にも資金的にも持続的な場所が、2030年には全国で実現されはじめているという状態を描いています。
3.自然観察指導員は、自然観察や自然保護活動、日常の仕事や生活を通して影響力がある存在で、社会的にかっこいい、信頼感がある、というイメージが世代によらず社会に定着している。
自然のしくみや価値を伝える指導員の活動がさらに自然保護教育の効果をあげるためには、腕章を巻いて活動する野外での観察会はいうまでもなく、「道端の草の魅力を通行人と共有して盛り上がった」「自然に関係ない職場だが、自然保護に役立つ認証付きの紙の利用を提案した」「プラスチックではなくおしゃれな竹製品を購入してSNSにアップした」といったような日常での働きかけを増やすことが大事だと考えました。
少子高齢化や非正規雇用が増え、ボランティア人口が減少する時代においては、職場や日常生活での活動がさらに大事になります。既存の野外活動の枠に捕らわれず、多様な指導員活動に溢れていることが、そして時には多くの指導員が同時多発的に行動することが、指導員の存在やその活動を社会に大きく印象付けると考えました。
信頼感がある指導者的なイメージに加え、「身近で素敵なあの人は指導員なんだ、指導員はいつでも自然にとってよい提案をしているような人なんだ」「影響力もあるし、ライフスタイルがかっこいい」といったようなイメージを広げていきたいと考えました。
作成者・お問合せ
公益財団法人 日本自然保護協会 自然観察指導員養成チーム
Tel:03-3553-4105 mail:kansatsu1978@nacsj.or.jp