2019.12.13(2020.01.31 更新)
【2019砂浜ムーブメント】小松海岸でビーチコーミング&ビーチクリーン!
イベント報告
専門度:
テーマ:生息環境保全海の保全
フィールド:砂浜
2019年秋~冬に日本自然保護協会(以下、NACS-J)が開催した海辺の保全活動キャンペーン「砂浜ムーブメント」。海辺を守るための第一歩として、多くの人に海辺を訪れその魅力を知ってもらうためのキャンペーンです。全国各地の自然観察指導員の方に協力をいただき海辺での自然観察会を開いていただいたり、NACS-Jが主催のイベント開催するなどしました。
2019年12月8日に、徳島県の小松海岸で砂浜ムーブメント2019・ビーチコーミング&ビーチクリーンを開催しました。
砂浜というと夏のイメージかもしれませんが、冬はとくに日本海岸では風が強くなるので普段とはひと味ちがう物が打ち上げられます。暑すぎる日光で熱射病になることもないので、意外に冬も砂浜散歩にいい季節なのです。
ただし、冷たい風に吹かれると夏とは違った厳しさにさらされるので、事前の天候チェックにあわせた行動計画づくりと服装などの準備が欠かせないのは夏も冬も同じです。
そんな12月に開催した砂浜ムーブメントは、全国的な暖冬でもあったので、とても穏やかで楽しい時間になりました。
会場の小松海岸は、吉野川の河口の右岸側にある2kmほどの砂浜です。四国三郎と呼ばれる日本有数の大河である吉野川の河口ということもあって見つけた貝やごみはなかなかダイナミックな印象を受けました。
▲小松海岸。絵にかいたような小春日和。とても穏やかな天候に恵まれました。しかし、遠くからでは「砂しかない…」と思われがちです。
当日は、海岸にある駐車場に集まり、共催団体の「とくしま自然かんさつの会」代表の井口利枝子さんの挨拶からスタート。NACS-J志村からは、全国で開催している砂浜ムーブメントのこと、なぜ砂浜に注目しているのか、などについてお話ししました。
そこからは、範囲を決めて、みんなで砂浜に出発。
▲はじまり、はじまり。こんなことに注目してみましょう。
砂浜のすぐ隣にある駐車場から眺めるだけでは「砂しかなさそう」に見えます。みなさんも、最初はとぼとぼと歩いて行きますが…ところが、波打ち際に近づくにつれ、いろいろなものが次々と見えてきて、拾い物集めに熱中しています。
砂浜ムーブメントでは、生き物だけでなく、ごみだけでなく、砂浜で出会ういろいろなものを観察しています。美しい貝殻、大きな貝殻、小さな貝殻、不思議なごみ、大きなごみ…etc。
それぞれに気になったもの、目についたものを拾っていただき、集まって出し合ってみると、「あれ、こんなものどこにあったの?!」とお互いにびっくりすることばかりです。
自然観察会は、みんなで観察することで人の数だけ、見え方の数だけ発見があるのが楽しいところですが、とくに砂浜はそんな発見が多い気がします。
▲砂浜にちらばって思い思いにビーチコーミング。
集めたものを「ごみ」コーナーと「いきもの」コーナーに分け、まずは「ごみ」を分類してみました。
多かったのは飲料用ペットボトル。ほんの30分ほどでしたが52本もありました。次は、その他プラスチック袋が35枚。花火や靴・軍手なども眼につきました。
量的には、流木に絡みついたロープがかなりのボリュームでした。流木だけなら自然にかえるものですがロープが絡みついてしまって簡単には分別できず、ごみとして処分せざるを得ません。
飲料用の空き缶は21個。使われている年月は缶のほうが長いはずなのに、ペットボトルの多さはダントツでした。こんなところからも、プラスチックごみの問題の一端をみんなで実感しました。
不思議なごみとしては、開封されておらず容器が入ったまま中身がなくなっている冷凍食品の包装。やぶれた隙間があることからカラスの仕業か、賞味期限切れで捨てられたのかとみんなで想像を巡らせました。
▲30分ほどの間に、こんなにごみが。
「いきもの」コーナーには、たくさんの貝殻が集まりました。アリソガイやサルボオ、トリガイのような大きながっしりした貝がたくさん見つかると同時に、オオモモノハナやナミマガシワのような繊細な貝も見つかりました。
打ちあがった貝殻を見ながら、海中の様子を参加者のみなさんと想像し、お話する中で、「お寿司屋さんで食べているあのネタはこんな形の貝だったのか」とか、「砂浜がこんなにおもしろいとは思わなかった。こんどは友達を誘ってこよう!」とか。
さらには、「久しぶりに砂浜に来て、高校生の頃に彼女といっしょに砂浜を歩いてサクラガイを拾ったことを突然思い出した。ナミマガシワも拾ったと思う。何十年も思い出しもしなかったのに突然記憶がよみがえった!」などの楽しいお話に花が咲きました。
▲種類も数もたくさんの貝殻!
一見、砂しかないと思われがちな砂浜ですが、独特の環境にひろがる生き物の世界があります。砂浜という海の入口に、こんどはあなたもお出かけください。(保護部・志村智子)
写真:井口利枝子、幸田青滋、NACS-J