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2019.11.06(2020.02.05 更新)

【報告No.1】砂浜しどういんサミット2019 in表浜 〜日本で絶滅危機とされている砂浜での自然観察指導員研修会〜

イベント報告

専門度:専門度1

▲2日目の集合写真。背景は表浜まるごと博物館!!

テーマ:環境教育人材育成

フィールド:砂浜

>>【報告No.2】砂浜しどういんサミット2019 in表浜(自然観察指導員大阪連絡会/田中広樹さん編)

インターン生の乙幡です。

今回砂浜しどういんサミットに参加させていただきました。研修会の様子を、半分は参加者、もう半分はスタッフとしての目線から報告させていただきます。

2019年10月19-20日に愛知県豊橋市にある表浜で自然観察指導員研修会を行いました。
今回の研修会は1泊2日で行い、初日は雨が強く不安しかありませんでしたが、フィールドに出る頃には雨も止み、全国から集まってくださった9人の参加者を迎えてとても充実した研修会を行うことが出来ました!!

今回は自然観察の力によって「陸に比べて遅れている海辺の自然保護を進める」ために、日本で数少なくなってしまった自然砂浜海岸の一つでありウミガメの産卵場所として有名な表浜を舞台に研修会を実施しました。

1日目、2日目を通して、専門家による「砂浜全体の仕組みと現状」、「砂浜の植生」、「砂浜のいきもの」、「砂浜と波」「観察会の企画及びリスクマネジメント」の講義と、講義で学んだことを実際に表浜に行って見たり、触れ合いながら経験として構築していきました。最後に、2日間で学んだことを踏まえて”砂浜宣言”を一人ずつ発表していただきました。

研修会の様子を当日の流れに沿って報告します。

乙幡雄介(CSOラーニング制度インターン/日本大学理工学部土木工学科)


内容に入る前に開催場所である「表浜まるごと博物館」について。「表浜まるごと博物館」はNPO法人表浜ネットワークが運営する施設で、民家を改造した施設の中には砂浜の仕組みが書かれたポスターや本、表浜に関する海洋ごみや貝類の標本が展示してありました。

地域の高校生が作った作品も飾っており、地域の方の交流場所にもなっているとても素敵な空間で2日間過ごしました。


▲表浜まるごと博物館内にある、海ごみの展示


▲地元高校生による海洋生物をモチーフにしたビーチグラスや貝のアート

1日目

雨が降っていたため予定を変更して、講義中心とした研修から始まりました。

自然観察指導員講習会講師である前田さんから「なぜいま、砂浜での観察会が必要か」を、実家の目の前にある砂浜を題材に説明していただきました。

次に、NACS-J職員の高川さんから「砂浜の植生」について。海の生き物を守る会代表の向井さんからは「砂浜のいきもの」について講義をしていただきました。最後にNPO法人表浜ネットワーク理事長の田中さんから「砂浜と波」についての講義をしていただきました。

様々な講義を受けて、砂浜と一言で言っても多様な目線からのアプローチが必要であることがわかりました。


▲海の生き物を守る会代表の向井さんによる「砂浜のいきもの」のお話


▲NPO法人表浜ネットワーク理事長の田中さんによる「砂浜と波」のお話

やがて、雨が止み晴れてきたのでフィールドワークを行いました。「砂浜全体の仕組みと現状」と「砂浜の植生」について実際に植物に触りながら特徴などを確認しました。


▲表浜にてコウボウムギの特徴を確認

フィールドから帰ってきた後は、参加者皆様のマイフィールドでの活動紹介をしていただきました。すでに砂浜をフィールドにしている方からそうでない方もいて様々な場所での活動を知れるとても有意義な時間となりました。

2日目

早朝の砂浜散歩のあと、砂浜観察会を実際にやる上でリスクマネジメントや実際に観察会に来てもらうためのアプローチの視点をどこに置くのかなどを前田さんにお話ししていただき、観察会内容を皆で考えました。


▲自然観察指導員講師の前田さんによる砂浜での観察会について。


▲NPO法人表浜ネットワーク理事長の田中さんによる「砂浜と波」のお話

その後、1日目は悪天候のため講義のみだった「砂浜と波」について、実際に波を見ながら田中さんに説明していただきました。

サーファーならではの波の見方や、サーファーがいる位置から海中の砂の状況を把握できることが知れてとても勉強になりました。

また、「砂浜のいきもの」の中でカニに注目して、カニが棲んでいる穴を掘り起こして、カニを探し出して同定を行ったり穴の深さを実感しました。巣穴からだけではわからなかったカニの種類(スナガニやナンヨウスナガニなど)も確認することができました。

皆さんとても楽しそうにカニを探していて、カニの同定は楽しみながらできることが実際に行ってみてわかりました。


▲表浜にてカニさがし。


▲捕まえたカニを観察

僕は、現在、土木工学を学んでいて、その中での自然環境保全の考え方や方法に疑問を抱いています。

そこで自然環境を保全する方々にとっての土木構造物の位置づけやあり方について聞いてみたいと思うのと同時に土木構造物が及ぼす影響を実際に見たいと思い、参加させていただきました。

今まで海水浴場として活用してきた砂浜を自然保全という視点で学べたこと、現地で経験できたことはとても勉強になりました。

特に、国土保全のために設置された海岸構造物が砂浜に及ぼす影響、その影響で砂浜生態系がどう壊れていくのかも現地で実感することができました。必ずしも国土保全を目的とした海岸構造物ではないことも知れました。

初日に行われた懇親会で、海岸の自然保護活動を行う最前線の方々から「土木技術者としてどうしていくべきか」のたくさんヒントをいただき僕の将来を考える上でもとても有意義な時間となりました。

今後、陸と海を繋ぐ砂浜というフィールドを様々な視点から見た際の重要性や海岸構造物が及ぼす影響について考えていこうと思います。

二日間を通して指導員や講師の方々と交流して研修会の心地よさや重要性も実感することができました!
また砂浜というフィールドでお会いしましょう。


▲スナガニ


▲表浜に咲くオニシバ


▲朝の砂浜散歩。

▲“砂浜宣言”


▲表浜をバックに集合写真をパシャり!

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