2019.04.22(2020.04.20 更新)
【配布資料】今日から始める自然観察「水玉模様のナミテントウ」
観察ノウハウ
専門度:
テーマ:環境教育
<会報『自然保護』No.569より転載>
このページは、筆者の方に教育用のコピー配布をご了解いただいております(商用利用不可)。ダウンロードして、自然観察などでご活用ください。
赤や黒の水玉など、さまざまな模様の翅を持つかわいいナミテントウ(以下、ナミ)。
欧米諸国では聖母マリアの虫(the ladybird beetle)として親しまれています。
春から初夏にかけて、トウカエデ(以下、カエデ)やウメの樹の周辺は、ナミの観察におすすめの場所です。
木村滋(一般財団法人総合科学研究機構 特任研究員)
ナミテントウの暮らし
ナミは、卵→幼虫→蛹→成虫と完全変態する昆虫です。卵は1㎜ほどの大きさで、ボーリングのピンのような形をしていて、一度に30個ほどの卵を塊として産みます。卵からふ化した幼虫(約2㎜)は、直ちにアブラムシを求めて行動します。彼らはアブラムシを食べ、3回脱皮して4齢幼虫(終齢幼虫:約12㎜)となり、やがて蛹になります。蛹は4日ほどすると成虫(8~10㎜)になります。成虫は交尾して産卵します。
春~夏の観察ポイント
ナミの成虫は、ススキの株元や家屋などで越冬して、春にアブラムシが発生する時期になると、アブラムシ発生場所に飛翔して、アブラムシを食べ、繁殖します。ナミにもアブラムシに対する好き・嫌いがあって、セイタカアワダチソウに寄生するアブラムシを好みません。アブラムシも発生する時期と場所が決まっています。
4月、ナミの繁殖場所を探しまわっていたとき、カエデやウメの幹にいくつものナミの卵塊があることに気づきました。カエデやウメのアブラムシは、それぞれの幹で冬を越して、春先新芽が芽生えるときに、それらの樹液を吸って繁殖します。ナミは、そのアブラムシを食べて卵を産み付けていたのです。
長年ナミの繁殖状況を観察した結果、ナミはカエデやウメのアブラムシを食べて成長すると、幹から下りてきて周辺の草むらや低灌木の葉の上で蛹になり、成虫になることが分かりました。家の近くのカエデやウメの樹でいつごろ新芽が出るのか、そこでアブラムシが発生しているのかを調べておくと、ナミを容易に見つけることができるでしょう。
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