2018.11.21(2019.07.08 更新)
【辺野古緊急調査2018】沖縄島辺野古における海草藻場モニタリング調査:ジャングサウオッチ・レポート2018
調査報告
専門度:
▲ 海草藻場の調査の様子
テーマ:生息環境保全海の保全
フィールド:辺野古・大浦湾
埋立工事が始まった辺野古でしたが、今年9月と10月は海の埋立承認が撤回されていたことで、立ち入りを制限していたフロートが撤去され、青い水平線が辺野古の海に戻っていました。 海の現状はどうなっているのか? それを知るために、日本自然保護協会はダイビングチーム・レインボーと合同で辺野古緊急調査2018を実施しました。
地元のみなさんと10年にわたってモニタリングしてきたテーマでもあるジュゴンの餌となる海草藻場(うみくさもば)。
9月に実施した調査結果をレポートにまとめて公開します。
全文:沖縄島辺野古における海草藻場モニタリング調査ジャングサウオッチ・レポート2018(PDF・1.16MB)
辺野古緊急調査2018(一部抜粋)
沖縄島辺野古における海草藻場モニタリング調査
ジャングサウオッチ・レポート2018
2018(平成30)年 11月
公益財団法人 日本自然保護協会
はじめに (*報告書より一部抜粋)
本海域では、2002~2012年の10年間、海草調査(ジャングサウオッチ)が行われてきた。2002〜06年に日本自然保護協会(NACS-J)主催、2007〜09年にはシーグラスウオッチ・ジャパン主催、2010~2012年には、NACS-Jおよび北限のジュゴンを見守る会「チーム・ザン」(代表:鈴木雅子)、「しかたに自然案内」(鹿谷法一、鹿谷麻夕)と共同で調査が実施された。その後、2013年に普天間飛行場代替施設建設事業の公有水面埋立申請が承認され、広く臨時制限区域が設置され調査が実施できなくなっていた。
2018年8月31日、環境保全措置の不備や軟弱地盤が確認されたことなどから公有水面埋立の承認を沖縄県が取り消したことで工事が中止された。そこで、ヘリ基地反対協議会ダイビングチーム・レインボーと共同で、海草藻場の現状を把握するため緊急調査を実施した。
考察 (*報告書より一部抜粋)
普天間飛行場代替施設の建設の一環として進められている護岸の中に、従来ジャングサウォッチで調査を実施してきた7地点の調査ポイントが囲われている。海草藻場を直接的に改変することが、種の多様性の低下につながっている。沖縄防衛局は工事による影響が生じるのは直接の改変地のみとしているが(沖縄防衛局、2013)、これまでに指摘してきたよう(日本自然保護協会、2013)、潮流のシミュレーションに誤りがあるなど直接の改変地の外に及ぶ影響は正しく予測できていない。泡瀬干潟では、大規模な埋め立て工事が直接の改変地だけでなく周辺の環境にも影響を及ぼしていた(日本自然保護協会、2007)。そのため本事業の場合も、護岸により波浪が大きくなったり潮流が変化することで周辺地域にまで影響が及び、海草群落の種構成や生育状況が変化することが懸念される。
辺野古海域の海草藻場は、沖縄島における最大の藻場であるとともに、海草の種の多様性という面から、沖縄島の海草のホットスポットであると考えられる(日本自然保護協会2007)。普天間飛行場代替施設建設のためにこの海域の海草藻場を埋め立てることは、沖縄島東海岸の海草藻場の多様性の維持の点からも大きな影響を及ぼすと考えられることから、ただちに工事を中止し、海草藻場の復元に取り組むべきである。
この調査は、緊急調査へのお願いにおよせくださったみなさまからのご寄付を活用させていただきました。
緊急のお願いに多くのご支援をお寄せくださり本当にありがとうございました。
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全文:沖縄島辺野古における海草藻場モニタリング調査ジャングサウオッチ・レポート2018(PDF・1.16MB)