2018.10.31(2018.10.31 更新)
環境影響評価法の基本的事項について意見
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▲環境省へ環境影響評価制度の実効性強化の要望書を提出(2016年3月)
テーマ:生息環境保全環境アセスメント
透明性を高め、生物多様性保全に資する制度へ
環境省が環境影響評価法に基づく基本的事項の改正を検討しています。この基本的事項とは、計画段階での配慮事項の選定、影響評価の項目の選定、調査・予測・評価を合理的に行うための手法の選定などに関しての指針を定めたものです。これに基づいて、事業種ごとに、所管する主務大臣が、具体的な基準や指針を定めています。
NACS-Jは、環境影響評価制度の実効性強化のために戦略的環境アセスメントの法律の制定や環境影響評価法の抜本的改正を求める提言書(https://www.nacsj.or.jp/archive/2016/03/1060/)を2016年3月に提出し、国会や関係省庁に働きかけを行ってきました。
こうした経緯から、検討会での意見表明の機会を得たため、WWFジャパン、日本野鳥の会とも意見交換を行った上で、今年8月、意見陳述を行いました。基本的事項にかかわることとしては、住民意見の手続きの中で、インターネットで縦覧できたとしても印刷も保存もできず、縦覧期間を終えるとファイルが消去され後の検証ができないことが多々あることを指摘して、少なくとも手続きが完了するまでは公開を続け、印刷も保存もできるようにするべきと主張しました。また、対象事業のスクリーニング(アセスメントが必要な事業を選別すること)は、規模ではなく、生物多様性への影響を配慮すべき点も指摘しました。
基本的事項の改正だけでは、環境影響評価の実効性強化には限界があります。事業の実施が前提の事業アセスメントの枠から、生物多様性保全が中心となる制度への転換のためには、立案・計画段階での第3者によるアセスメント制度の創設が不可欠です。
▲長野県大鹿村のリニア工事現場。事業者と住民との間のコミュニケーションが成立しないまま事業が進められている。
担当者から一言
保護室 辻村千尋 環境影響評価はコミュニケーションツールですが、今は一方通行。この点を早く改善したいと思っています。 |