2018.09.25(2018.09.25 更新)
2018年度のニホンジカ捕獲試験について
解説
専門度:
テーマ:獣害問題
フィールド:森林
求められるシカの「低密度管理」
今、ニホンジカ(以下、シカ)は、全国で分布域を急速に広げ、高密度に生息する地域では、農林業被害に加え、自然林の世代交代を妨げ、土壌の流出を引き起こすなど、生態系や生物多様性の保全上大きな脅威となっています。シカによる環境への影響は被害が大きくなってからでは元の状態に回復させることは難しく、被害が少ない低密度で生息する段階での対策が求められます。しかし、低密度でのシカの管理・捕獲技術は未確立で、ほとんど実施されていません。
赤谷プロジェクトエリアでも、低密度ながらシカは着実に増加してきたため、全国に先駆け、低密度でのシカ対策を始めました。昨年は、シャープシューティングという銃を使用した捕獲方法で捕獲に取り組みましたが、シカの警戒心が高く、夜間出没が多いこともあり、捕獲に至りませんでした。
本年度は、このような点を踏まえ、夜間の捕獲も可能な囲い罠と箱罠の二つの方法を用いた捕獲方法を実施する予定です。
2018年度は「罠」
先日、このうち捕獲機能除いた囲い罠をいきもの村奥に設置しました。
この囲い罠は、森林内の立木を利用し、ワイヤーと網を用いて設置するため、比較的設置が容易で、稼働時には罠の稼働の有無を感知するセンサーを機能させることで、見回りをすることなく、捕獲状況を把握でき、稼働時の運用コストが低いのが特徴です。
現時点は網だけの設置で捕獲機能はありませんが、中心に鉱塩(塩のかたまり)を設置しながら、シカに慣れさせるという作業を実施しています。
今回の実施を経てさらに一歩低密度下でのニホンジカの捕獲を進められればと考えております。