2018.09.21(2023.09.22 更新)
【寄付のお願い】シカと人の未来のためのプロジェクト2018
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専門度:
テーマ:獣害問題
フィールド:森林
2018年もやります!
ニホンジカの増加を止め、害獣から森の住人へ
ニホンジカの増加は、日本の森における最大の課題です。
いま各地で対策が行なわれていますが、農林業の被害や生態系の破壊など、被害が確認できるほど数が増えてしまっては、捕獲はもちろん、傷ついた森林管理に膨大なコストが必要となります。そのため、森林が長く健全であるためには、シカが増える前の “低密度” の状態で管理することが、不可欠ではないかと考えます。
そこで、群馬県の赤谷の森をフィールドに、2017年度に引き続き、“低密度管理” のための捕獲試験を行います。野生動物と共存する新しい技術として、この取り組みへのみなさまのご支援をお願いします。
2017年度は何をしたの?
専門チームとともに、シカの低密度管理技術の開発に向けた試験的な活動を行い、まずは2019年に、ニホンジカの密度がこれから増加することが見込まれる地域で活用できる知見を積極的に発信する予定です。その第一歩として、2017年度には警戒心の高い「スマートディア(スレジカ)」を増やさないことを念頭に、シャープシューティングを実施しました。
日本初の「低密度管理」に寄付をする!
群馬県みなかみ町にある赤谷の森は、昔ながらの森の姿を取り戻すために、長年私たちが活動を行ってきたエリア。2017年にはユネスコのエコパークにも認定されています。赤谷の森では、シカは激増ではないものの着実に個体数が増え、10年後にはかなりの数になると予想されます。その対策として、早い段階(=低密度)でシカの頭数制限を行なっていくことが、このプロジェクトの重要なポイントです。
2018年度ニホンジカ捕獲試験
2017年度シャープシューティング(銃を用いた捕獲)や調査から、赤谷では夜間の出没が多いことが分かってきました。夜間の捕獲は銃での実施が難しいため、罠(箱罠・囲い罠)を用いた捕獲を予定しています。罠には、センサーを取り付け、罠が稼働すると自動的に案内がくる仕掛けとなっており、効率的な捕獲を目指しています。
シカが増えると、私たちの飲み水がなくなる?
シカの増加は、人の暮らしにどう影響するのでしょうか? 農林業への被害はもちろんですが、水源に関わることをご存知でしょうか?
シカは下草や樹皮ばかりでなく落葉まで餌にするなど何でも食べます。シカが過度に増加してしまった森林では、下草がなくなって裸地化することにより土壌が流出し、雨が降るたびに土砂崩壊が起こりやすくなり、森が水を蓄える力を失います。そのため、シカの増加した水源林の土砂崩壊を食い止めるために、コンクリートをつかった土木工事が行われている地域もあります。対策に莫大な費用がかかるばかりではなく、自然が失われていく悲しい例ではないでしょうか?
赤谷プロジェクトにおけるシカ管理の取り組みは、シカの影響が顕著ではない段階で低密度状態を維持するとを目的としており,これまでのシカ対策には前例のない画期的な取り組みです。この取り組みは、今後、まだシカの密度の低い地域や、シカの密度を下げることができた地域での管理に役立つことが期待されます。
梶光一(東京農工大学教授/兵庫県森林動物研究センター所長/知床世界遺産地域委員会エゾシカ・陸上生態系ワーキンググループ座長/日本自然保護協会評議員)
エゾシカ・ニホンジカを中心に、野生動物を科学的に管理するための研究と、社会課題を解決するための実践を続けている。赤谷プロジェクトの哺乳類ワーキンググループ座長として、赤谷プロジェクトエリアでのニホンジカのモニタリングと、低密度管理を実現するための検討を進めてきた。
赤谷の森でシカの低密度管理を行います
低密度管理の試みはとても先駆的なものですが、これまで5年にわたり、行政、猟友会、専門家、地域住民、自然保護団体が集まり意見を交わしてきました。そういった地道なプロセスと科学的なモニタリングがあってこそ導き出された取り組みといえます。
赤谷の森では2008年より、シカのモニタリングを行なっています。一般的には、シカが増加してから調査を行うため、その前段階のデータがあることはとても貴重なこと。
2016年までのシカの分布変遷を見ると、出現地点数は8年間で8.5倍に増えていることがわかります。また、3年間の植生調査では、ニホンジカによる摂食地点数が約3倍に増え、深刻な影響を受けている湿地も確認されました。
今後、赤谷の森では、専門チームとともに、シカの低密度管理技術の開発に向けた試験的な活動を行い、まずは2019年に、ニホンジカの密度がこれから増加することが見込まれる地域で活用できる知見を積極的に発信する予定です。
【ご寄付のお願い】
ニホンジカの低密度管理の試みは、捕獲だけでなく、捕獲後のことも考えなくてはいけません。このプロジェクトでは、捕獲したニホンジカを地域資源として有効活用する試みも行なっていきます。
今年度、この取り組みを進めるためには最低でも300万円活動費用が必要です。みなさまのご支援よろしくお願いいたします。
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本件に関するお問い合わせ先
TEL:03-3553-4103(担当:出島 松井)