2018.09.21(2025.03.18 更新)
シカと人の未来のためのプロジェクト2018
報告
専門度:
テーマ:獣害問題
フィールド:森林
ニホンジカの増加は、日本の森における最大の課題です。
いま各地で対策が行なわれていますが、農林業の被害や生態系の破壊など、被害が確認できるほど数が増えてしまっては、捕獲はもちろん、傷ついた森林管理に膨大なコストが必要となります。そのため、森林が長く健全であるためには、シカが増える前の “低密度” の状態で管理することが、不可欠ではないかと考えます。
そこで、群馬県の赤谷の森をフィールドに、2017年度に引き続き、“低密度管理” のための捕獲試験を行います。野生動物と共存する新しい技術として、この取り組みへのみなさまのご支援をお願いします。
これまでの取り組み(2017年~2018年)
専門チームとともに、シカの低密度管理技術の開発に向けた試験的な活動を行い、まずは2019年に、ニホンジカの密度がこれから増加することが見込まれる地域で活用できる知見を積極的に発信する予定です。その第一歩として、2017年度には警戒心の高い「スマートディア(スレジカ)」を増やさないことを念頭に、シャープシューティングを実施しました。
また、2018年9月には、現地で罠を設置しました。低密度管理の手法を模索中です。
群馬県みなかみ町にある赤谷の森は、昔ながらの森の姿を取り戻すために、長年私たちが活動を行ってきたエリア。2017年にはユネスコのエコパークにも認定されています。赤谷の森では、シカは激増ではないものの着実に個体数が増え、10年後にはかなりの数になると予想されます。その対策として、早い段階(=低密度)でシカの頭数制限を行なっていくことが、このプロジェクトの重要なポイントです。
2018年度ニホンジカ捕獲試験
2017年度シャープシューティング(銃を用いた捕獲)や調査から、赤谷では夜間の出没が多いことが分かってきました。夜間の捕獲は銃での実施が難しいため、罠(箱罠・囲い罠)を用いた捕獲を予定しています。罠には、センサーを取り付け、罠が稼働すると自動的に案内がくる仕掛けとなっており、効率的な捕獲を目指しています。