2018.07.04(2018.07.25 更新)
オオハンゴンソウの抜き取りについてのレポートが届きました!
自然観察指導員報告
専門度:
テーマ:外来種
八戸市の自然観察指導員、石津正廣さんからオオハンゴンソウの抜き取り作業に関する詳細なレポートが届きました!各地で駆除作業を行っている方に参考にしてほしいというお手紙をいただき、会報『自然保護』2018年5・6月号のN-cafeコーナーでご紹介しています。スペースの都合で会報でご紹介できたのはほんの一部。ウェブサイトでも全部はご紹介できませんが、会報より詳しい内容を掲載させていただきます。
オオハンゴンソウを根絶する方法をお伝えします!
青森・石津正廣(自然観察指導員)
特定外来生物のオオハンゴンソウは、北アメリカ原産の多年草です。日本では、中部地方以北のやや寒い地方に広く帰化しており、現在では全国的に繁殖していると報告されています。駆除活動も各地で行われていますが、根絶が難しく、良い結果が得られていないようです。青森県の種差海岸では、平成23年から本格的に駆除作業を行い、平成29年までに合計367万1251本を抜き取りました。7年目にしてようやく数カ所で根絶しましたので、その手法や経緯を報告します。ぜひ参考にして駆除活動にご活用ください。
▲オオハンゴンソウ
経緯
私は平成9年から青森県の種差(たねさし)海岸のオオハンゴンソウの分布調査をしてきました。蕪島(かぶしま)から種差芝地まで8㎞の範囲に44カ所繁殖が確認されています。毎年徐々に繁殖エリアを広げ、貴重な在来植物がオオハンゴンソウにより減少し、危機を感じた平成15年よりボランティア活動にて駆除作業を行ってきました(今も多くの団体がボランティア活動を続けています)。年一度の駆除作業では効果がないことが分かりました。その後、行政の協力を得て、平成23年度より雇用対策事業で3年間駆除作業(12名・90日間)を行い、その後は八戸市文化財課の予算で花を咲かせない、種を落とさない駆除作業(6名・10日間)を毎年行っています。その結果、多くの場所で減少傾向にあります。
結論
繁殖エリアでは、徹底的に出たら抜き取り、出たら抜き取りを年に最低3回行うと3年で激減します。私たちは5~6月、7~8月、9~10月ごろの3回抜き取りを行いました。絶対に花を咲かせないこと、タネを落とさないことが根絶の基本です。埋土種子が無くなるまで最短で7年かかりました。長年放置した場所では、駆除効果がかなり出ているものの、未だに平成22年以前の埋土種子からの発芽が続いています。いつまで続くのか、現在も抜き取りを継続して行い、注視しています。全体的に多くの場所で、もうひと頑張りで根絶に近づいていますが、急斜面や私有地の山林等は駆除が出来ていません。
抜き取ったオオハンゴンソウの処置
特定外来生物であるオオハンゴンソウは、確実に防除するために焼却されることが多いのですが、焼却処分は運搬費、焼却費、人件費等お金もかかり、CO2増加等、環境には決して良いとは思われません。種差海岸では、市の文化財課、環境省の担当者に承諾を得て確認して貰いながら、異なる処分方法の試みを行っています。花はごみ袋に入れ、燃えるゴミとして出し、それ以外は1カ月ほど天日干しし確実に枯らして、状況を見極めながら腐葉土として抜き取った場所の凹みに戻しています。これまで、特に問題は起きていません。
詳細レポート:ダウンロード
① オオハンゴンソウの特徴(5.5MB)
② オオハンゴンソウの抜き方(2.5MB)
③ 駆除作業抜き取り実績(1.5MB)
④ ミイシ周辺の抜き取り経緯+抜き取りを始めた年_平成23年(6.4MB)
⑤ ミイシ周辺の抜き取り_根絶した年_平成29年(1MB)
⑥ 抜き取ったオオハンゴンソウの処置(1.2MB)